手の動きだけでタイピングを読み取るウェアラブルデバイスが開発される
新しい読み取り技術は、指先から手首にかけて薄い皮膚のようなナノメッシュをプリントすることで機能します。
このナノメッシュは金でコーティングされた数百万本の銀のナノワイヤーで構成されており、電気経路となります。

皮膚の伸縮によって電気抵抗にわずかな変化が生じるため、手の動きに応じて独自の信号パターンが生成されます。
そしてこの信号は手首に装着した軽量のBluetoothユニットを介してコンピュータに送られ、それぞれのパターンから手の動きを解読してくれるのです。
これにより、手の動きだけで「キーボード上のどのキーを打とうとしているのか」判別できます。
つまりキーボード無しのタイピングが可能になるのです。

また研究チームは、複数のユーザーの手の動きをAIに学習させ、認識精度を高めることに成功しました。
こうして訓練されたAIは、全く新しいユーザーがキーボード無しで入力する文章を正しく認識することができたようです。
ただ現状、読み取れているのは人差し指一本だけであり、チームは今後、複数の指でタイピングできるよう発展させる予定です。
この新しいナノメッシュのメリットは、環境を選ばず、簡単に利用できる点にあります。

例えば、ナノメッシュは携帯用デバイスを使って皮膚に直接プリントできます。
またユーザーが装着していることに気づかないほど薄くて軽く、柔軟性もあります。
さらに生体適合性や通気性にも優れており、石鹸や水で擦らない限り、数日間の日常的な使用に耐えられます。(手洗い程度であれば問題無し)
ブラインドタッチさえ習得していれば、キーボード配列を印刷した薄い紙や布を敷く必要さえありません。
指を動かしさえすれば、いつでも文字が打てるのです。
将来的にはスマートグラスと組み合わせることで、どこでも手ぶらでメールの返信をしたり、メモを取ったりできるウェアラブルデバイスとして活躍するでしょう。