イルカが受ける騒音の悪影響は人間の場合と似ている
ちょっと可哀想ですが、イルカたちには5段階の騒音レベル(騒音なし~非常に高い騒音)で、それぞれ40回ずつ協力行動の実験が行われました。
するとイルカたちは騒音レベルの上昇に応じて、ホイッスル音のボリュームを大きくしたり、音を長く発したりと行動をそれまでと変化させたのです。
さらにイルカたちは、鳴き声だけでなくボディーランゲージまで使用し始め、お互いに向き合ったり近づいたりする確率も高まったそうです。
まさにイルカたちは人間と同じように、声を大きくしたりボディーランゲージを使って、騒音に対処しようとしたのです。
それでも課題の成功率は85%(騒音なし)から62.5%(非常に高い騒音)にまで低下してしまいました。
いろいろ努力はしたものの「課題の成功率が低下した」という実験結果は、騒音に対してはイルカたちの能力にも限界があることを示しています。
こうした結果もまた人間と似ていますね。
当然と言えばそれまでですが、大声で騒音に対処するのは知性や種族に関係なく音声コミュニケーションを行う動物の間では共通した行動のようです。
研究チームはこの結果から、人間が生み出す騒音(掘削、飛行機、モーターボート、交通)によって、野生動物の行動や健康に悪影響が及ぶおそれがあることを指摘しています。
たびたび話題に上る騒音問題は、実は人間だけでなく動物たちも困らせるものだったのです。