アメリカが「無数のドローンを協調して操るシステム開発」を呼びかける
軍用ドローンは、今まさに戦争で利用されています。
最近では、ウクライナ軍のドローンが、ロシア兵に向けて爆弾を投下する動画が話題になりました。
この動画ではドローン1機が操作されているだけですが、複数の自律型ドローンを用いた作戦も研究・実行されています。
こうした中で、戦場では「対ドローン戦術」の必要も生じており、数々の「ドローン迎撃システム」が誕生してきました。
例えば、下記の動画のような「移動式ドローン迎撃車」なども開発されました。
ドローンを用いた戦争は、今後さらに激化すると考えられます。
こうした中で、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は新たな一手を打ち出しました。
2022年11月28日に、軍用ドローンプロジェクト「AMASS:Autonomous Multi-Domain Adaptive Swarms-of-Swarms」に関して、あるシステムを開発するよう業界に求めたのです。
その機関発表(HR001123S0010)によると、DARPAが求めているのは、自律型ドローンの群れを敵の「接近阻止・領域拒否(A2/AD:anti-access/area denial)」戦略から保護するシステムです。
このA2/ADとは、敵の接近や行動を阻害する軍事戦略のことです。
自律型ドローンの群れを敵国にただ飛ばすだけでは、ドローン迎撃システムによって打ち落とされて終わります。
DARPAは、AIを用いて複数の自律型ドローンを指揮し、敵国の迎撃システムをかいくぐりながら運用できるシステムの開発を目指しているのです。
しかもこのプロジェクトでは、空、地上、水中で活躍する数千の自律型ドローンが、様々な武器、レーダー、ジャマーを装備し、制御システムのもとで連携を取りながら作戦を実行することを想定しています。
無数の小型兵器が、自律的に通信し、情報交換し、行動の調整を行えるシステムを開発しようというのです。
そしてDARPAは2023年2月10日を期限とし、この開発を請け負う業者を募集しました。
契約を結ぶ業者には、総額7800万ドル(約100億円)が提供される予定です。
もし、このプロジェクトが順調に進むなら、アメリカは迎撃システムを物ともしない「軍隊として動く大量自律型兵器」を手に入れることになります。
それは、世界中で運用されている既存のドローン戦略を凌駕するものとなるかもしれません。