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「硬い卵」の進化から見れば、卵が先?
この問題は「卵」をどのように定義するかで答えが変わってきますが、生物学者の多くは「卵が先」と明言します。
まずもって、ニワトリが産むような「硬い殻を持つ卵」の獲得は、太古の昔に有羊膜類の動物たちが成し遂げた一大革命でした。
有羊膜類は文字通り、羊膜を持つ動物たちのことで、主に爬虫類、鳥類、哺乳類のグループが含まれます。
羊膜とは、動物の発生の過程で形成される胎児と羊水を包む胚膜のことで、これにより地上の乾燥に適応した硬い卵が産めるようになりました。
ベルギー王立自然史博物館(RBINS)の古生物学者であるクーン・スタイン(Koen Stein)氏は「硬い卵は有羊膜類の動物たちが水環境から離れていくことを可能にし、脊椎動物の進化を飛躍させる重要なステップとなった」と話します。
この卵が誕生する以前、脊椎動物たちは繁殖のために水域に依存しなければなりませんでした。
それまではゼラチン状の柔らかい卵だったので乾燥に弱く、常に水中で保持しておく必要があったのです。
魚類や両生類は今でもこの方法を取っています。
そして先行研究(Current Biology, 2015)によると、真の鳥類が化石記録に現れるのはジュラ紀の中期から後期(約1億6500万〜1億5000万年前)です。
米テキサス大学オースティン校(UTA)の古生物学者は、最初の殻付きの卵はそれより遥か以前の約3億2500万年前に進化したと述べています。
つまり、「鳥を産むための卵はニワトリよりずっと前に誕生したことになる」と考えられるのです。
これにて論争は一件落着… かと言えば、そう単純は話でもありません。
最初に指摘したように、この問いは「卵」をどう定義するかで変わってくるのです。
生物学者たちはこう言います。
「もし”最初のニワトリ”が産んだ卵の話をしているのなら、答えは逆転する」と。