タコはどうやって「カモフラージュ」するの?
身を隠すために擬態したり、変装する生物は自然界にたくさんいます。
しかしその中でもタコが見せるカモフラージュは他の追随を許しません。
彼らは危険を察知すると、瞬きする暇もなく、瞬間的に体色や模様を変えることができるのです。
その秘密はタコの細かな筋肉と色素細胞にあります。
タコは腕一本につき約5000万の神経を持っていて、ありとあらゆる方向に筋肉を動かすことができます。
また皮膚表面には色素細胞があり、これが筋肉の動きに応じて収縮すると白っぽい淡色になり、弛緩すると茶色などの濃い色に変わるのです。
具体的には、色素細胞の中に「オモクローム」という生体色素が含まれており、これが黄色や赤色、黄土色などの色素を持っています。
そしてオモクロームが筋肉の収縮と弛緩を受けると、さまざまな体色や模様を表現できるのです。
その一方で、研究者たちは以前から「タコのカモフラージュにどれだけの代謝コストがかかっているのか」疑問に思っていました。
傍(はた)から見ると、タコたちは何の苦もなく自由自在に体色や模様を変えているように見えますが、実際のところはわかっていません。
そこで研究チームは今回、東太平洋で集めたタコ(学名:Octopus rubescens)を対象に調査を実施。
するとタコのカモフラージュは寿命を削る禁術だったことが判明したのです。