曲線レールの上をスムーズに転がる「コーディドック・ローリングブリッジ」
人力で回転する秘密は、「重量のバランス」と「可動橋下部のレールの形状」にあります。
通常の設計であれば、その重量のほとんどは橋床に偏り、スムーズな回転が難しくなります。
そこでペイジ氏は、正方形の枠の上部にバランスを取るための重り(バラストと言う)を取り付けています。
これによって重心が高くなり、回転しやすくなるのです。
またこの可動橋は、橋下部のレールに乗っており、その特殊な形状に沿って回転します。
モデルを見ると分かるように、レールは角の形にくぼんだ特殊な曲線となっています。
これにより、回転中心が一定のままスムーズに回転することができるのです。
直線的な地面であれば回転させるために「片方の角が持ち上がる」ほど大きな力で引っ張る必要があるでしょう。
しかしこの曲線レールであれば、「角をくぼみに落とす」程度の力で十分です。
とはいえ橋全体の重さは13トンもあり、人力で180度回転させるには「約20分かかる」とのこと。
「電気もモーターもいらない」とはいえ、膨大な労力が必要なようです。
長時間通行禁止になることも考えると、この可動橋は、めったに船が通らない場所に設置するか、巻取りを電気モーターに任せた方が良いとも言えるでしょう。
また「航路を妨げないほど高い歩道橋を設置すればよい」との意見も上がっています。
確かにその通りですが、新しい可動橋には「バリアフリー」のメリットがあるとも言えます。
結局は、「再開発プロジェクトにふさわしいユニークなデザイン」であることが一番の採用理由なのでしょう。
コーディドック・ローリングブリッジのようなユニークな可動橋は、今後も世界のどこかで誕生するかもしれませんね。