イギリスの「転がる可動橋」
イギリスの「転がる可動橋」 / Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page
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13tもあるのに人の力で転がせる!?イギリスの不思議な「転がる」可動橋 (2/2)

2023.03.07 Tuesday

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曲線レールの上をスムーズに転がる「コーディドック・ローリングブリッジ」

人力で回転する秘密は、「重量のバランス」と「可動橋下部のレールの形状」にあります。

正方形の枠にはバランスを取るための重りが仕込まれている
正方形の枠にはバランスを取るための重りが仕込まれている / Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

通常の設計であれば、その重量のほとんどは橋床に偏り、スムーズな回転が難しくなります。

そこでペイジ氏は、正方形の枠の上部にバランスを取るための重り(バラストと言う)を取り付けています。

これによって重心が高くなり、回転しやすくなるのです。

曲線レールの上を転がる
曲線レールの上を転がる / Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

またこの可動橋は、橋下部のレールに乗っており、その特殊な形状に沿って回転します。

モデルを見ると分かるように、レールは角の形にくぼんだ特殊な曲線となっています。

特殊なレールにより、回転の中心変わらない
特殊なレールにより、回転の中心変わらない / Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

これにより、回転中心が一定のままスムーズに回転することができるのです。

直線レールで回転させた場合のイメージ
直線レールで回転させた場合のイメージ / Credit:Canva

直線的な地面であれば回転させるために「片方の角が持ち上がる」ほど大きな力で引っ張る必要があるでしょう。

しかしこの曲線レールであれば、「角をくぼみに落とす」程度の力で十分です。

レールのくぼみに角が「落ちる」ので回転しやすい
レールのくぼみに角が「落ちる」ので回転しやすい / Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

とはいえ橋全体の重さは13トンもあり、人力で180度回転させるには「約20分かかる」とのこと。

「電気もモーターもいらない」とはいえ、膨大な労力が必要なようです。

長時間通行禁止になることも考えると、この可動橋は、めったに船が通らない場所に設置するか、巻取りを電気モーターに任せた方が良いとも言えるでしょう。

「高めの歩道橋でいいのでは?」という意見も
「高めの歩道橋でいいのでは?」という意見も / Credit:Corpse Reviver(WikiPedia)_横断歩道橋

また「航路を妨げないほど高い歩道橋を設置すればよい」との意見も上がっています。

確かにその通りですが、新しい可動橋には「バリアフリー」のメリットがあるとも言えます。

結局は、「再開発プロジェクトにふさわしいユニークなデザイン」であることが一番の採用理由なのでしょう。

コーディドック・ローリングブリッジのようなユニークな可動橋は、今後も世界のどこかで誕生するかもしれませんね。

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