売春禁止はレイプ率を大幅に増加させ自由化は減少させると判明!
売春を禁止すべきか自由化すべきかについては、古くからさまざまな国や地域で大きな議論になっています。
アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとした著名な人権団体の多くはすべて、人道の観点から成人売春が非犯罪化されるべきだとの声明を発しています。
人権団体の多くはその理由として、非犯罪化されることで、売春にかかわる人々が公に警察の保護を受けられるようになり、安全が増すと述べています。
売春を禁止してしまえば、セックスワーカーが虐待を受けたとしても相手を訴えることが難しくなる一方で、自由化されていれば虐待者は容易に告発され、セックスワーカーたちが自らの待遇改善を求めて団結することも可能になるからです。
実際、複数の明確な証拠が、買収の自由化が性感染症の蔓延防止などセックスワーカーたちの健康改善につながることを示しています。
一方、売春の法的禁止と厳罰化を求める声も常に存在しています。
たとえば1949年、国連は「売春は個人・家族・地域社会の福祉を危うくする」とする声明を発表しています。
また急進的なフェミニスト団体は「売春は伝統的な男性優位社会の結果であり、男性による女性の搾取の代名詞である」とする声明を発しています。
この意見が正しければ、売春を禁止することはジェンダー平等を実現する重要なプロセスとして機能することになります。
しかし活発な議論にもかかわらず、商業的セックスの禁止や自由化が社会に及ぼす影響については、あまり研究が進んでいません。
そこで今回、復旦大学の研究者たちは過去30年の間に欧州の31カ国で行われた、売春の禁止と自由化を決定する法律が、その後の性犯罪発生件数(特にレイプ発生率)にどのように影響したかを調べることにしました。
結果、売春の自由化(非合法➔合法)はレイプ率の大幅な減少につながる一方で、売春の禁止(合法➔非合法)は逆にレイプ率を大幅に増加させることが判明しました。
具体的には、売春の自由化した国は、平均して人口10万人あたり3件のレイプ率が低下する一方で、売春を禁止した国は平均して人口10万人あたり11件もレイプ率が上昇していました。
調査対象となった国々の平均的なレイプ率が人口10万件あたり9件であることを考えると、売春の禁止はレイプ率を2倍以上も増加させる結果につながりました。
また見逃せない点として、売春の非合法化が行われる時期には、もともと弱い立場にあるセックスワーカーに対する迫害(殺人や傷害)が深刻化することも指摘されています。
さらに興味深いことに経済に与える影響も自由化と禁止は異なっており、売春を禁止した場合の経済に対する影響は、自由化の4倍に及ぶことがわかりました。
また今回の研究では、多くの人が懸念している、売春自由化が犯罪率全体の大きく引きあげ要因になるのかという点も調べられました。
結果は否定的であり、売春を自由化することは殺人・強盗・窃盗など他の犯罪率と関連しないことが明らかになりました。
逆に売春を禁止したとしても、殺人・強盗・窃盗などが減る効果はありませんでした。
これらの結果は、売春の自由化や禁止が与える犯罪発生率への影響はレイプ率の発生件数のみに関連していることを示します。
また売春の自由化と禁止がどのようにレイプ率の増減についてかかわるかについて、研究者たちは需要と供給の面から説明できるとしています。
研究者たちはまず基本として、売春とレイプの2つは男性がセックスを得る際に合法であろうが違法であろうが常に選択肢として存在しているという冷酷な事実を指摘しています。
(※どんな裕福な国でもお金に困る人がおり、セックスを暴力的かつ無償で得たいという欲求を無くすことはできません)
そのため実体は需要と供給のバランスに支配され、売春の自由化はセックスサービスの供給を高めることで価格を抑え、安全性を高めることにつながるため、結果として男性はレイプよりも売春を選択しやすくなります。
一方、売春が禁止された場合、セックスワーカーたちは地下経済に追いやられ、供給が低下してコストが上昇し、健康リスクも高くなるため、結果として男性は売春よりもレイプを選択しやすくなります。
以上から研究者たちは売春は性暴力の代替物(代替選択肢)としての役割を担っており、禁止はレイプ率の増加という予期せぬ副作用をもたらす可能性があると結論しています。
売春にかかわる社会的メリット・デメリットは忌避されがちな話題ですが、十分な調査を行い冷静にデータと向き合うことは、安全な社会を築くために必要な研究でしょう。