シカの歯ペンダントから「2万年前の女性DNA」を発見!
こちらがシカの歯のペンダントです。
歯の上部には丸い穴が開いており、ここに紐を通してペンダントとして着用していたと見られます。
理論的には、もし誰かがこのペンダントを肌身離さず身につけていたのであれば、彼もしくは彼女の皮膚や汗を吸収していると考えられます。
そこで先の新技法を適用した結果、エッセル氏いわく「まるでヒトの歯から採取したかのような驚くべき量のヒトDNAが抽出できた」のです。
さらに性染色体(XXは女性、XYは男性)の数から、ヒトDNAは女性のものと特定されました。
加えて、DNAの配列が約1万7000年〜2万4000年前にシベリア東部に暮らしていた2つのヒト集団に酷似していたこと、それからシカの歯の年代測定そのものから、女性は約1万9000年〜2万5000年前に生きていたことが分かっています。
また現代のヒト集団と比較すると、ネイティブ・アメリカンと最もよく似た遺伝子を有していたそうです。
以上の結果は、シカの歯のペンダントが女性によって着用されているうちに、彼女の遺伝情報を封じ込めるロケットとなったことを示唆しています。
この驚くべき結果は「歴史的な人工物が古代人DNAの未開発の発掘源になる」という考えを研究者の間に広めるものです。
チームは現在、保管状態にあるより多くの遺物に対しても同様の技術を実践し、ヒトDNAの採取を進める計画を立てています。
環境DNAによって、今まで見過ごされてきた古代人の姿が浮き彫りになるかもしれません。