標本コレクションの中から「新種ゾウムシ」を発見!
ゾウムシは、その名の通り、口部がゾウの鼻のように長く伸びた姿が愛らしい生き物です。
圧倒的な種数を誇る昆虫界でも最大派閥のひとつであり、現時点で約6万種が知られ、少なく見積もっても20万種以上は存在すると推定されています。
日本国内でも1000種以上が見つかっているようです。
さて、研究主任のジェイク・ルイス氏は2022年の着任時から、学内に保管されていた昆虫の標本コレクションに飛びついたと話します。
「詳しく観察する中で、あるゾウムシの標本を見つけた途端に目が釘付けになりました。
この種がカレキゾウムシ属(Acicnemis)の仲間であることは明らかでしたが、過去に東アジアで見つかった他の種とは違っていたのです。
見た目の独特の特徴が、日本でも確認されている従来のカレキゾウムシとは異なるものでした」
カレキゾウムシ属は180種以上が知られており、新種と断定するには、既存の文献や博物館の標本を入念に調べなければなりません。
そこでルイス氏は顕微鏡分析や解剖のほか、九州大学総合研究博物館、イギリスの大英自然史博物館、ドイツのゼンケンベルグ昆虫学研究所などの複数の機関に問い合わせ、既知のカレキゾウムシと比較しました。
その結果、コレクション中の標本は見事にカレキゾウムシの新種であることが判明したのです。
この標本が採取されたのは「やんばる国立公園」と「石垣島」のみであり、琉球列島の固有種と見られることから「リュウキュウカレキゾウムシ(学名:Acicnemis ryukyuana)」と命名されています。
さらに調査を進める中で、リュウキュウカレキゾウムシは人の存在に対してかなり敏感であることが明らかになってきました。