フンボルトペンギンはどんなペンギンなの?
フンボルトペンギンはペンギン目ペンギン科フンボルトペンギン属に分類される種類で、フンボルト海流が流れ込む南アメリカのチリやペルー沿岸地域に生息していることから、その名がつきました。
ペンギンといえば、南極など寒い場所で暮らしているのを想像しがちですが、このペンギンは寒さに弱く、温かく乾燥したペルーでも生息できることから別名”ペルーペンギン”とも呼ばれています。
胸に太い一本のラインがあるのが特徴で、クチバシ周りにはピンク色の皮膚がむき出しになっています。
主食はイワシやカタクチイワシで、日本の飼育下でもイワシやアジなどの小魚が与えられています。
そしてこのフンボルトペンギンの変わった行動として、水族館などでときたま小石を吐き出す様子が確認さています。
しかし、彼らの生態において小石を飲み込まなければならない理由が、長らく謎となっていました。
これまで提案されたペンギンが小石を飲む理由
哺乳類などと違って鳥類には歯がないため、種子や木の実を食べる種では、食べ物を細かく砕くために、飲み込んだ小石を使ってすり潰す専用の器官があります。
これを砂嚢(さのう)と呼びます。焼き鳥が好きな人ならご存知かもしれませんが、いわゆる”砂肝”がこれに当たります。
キジバトやスズメなど種子を主食にしている鳥たちがこの器官を持ち合わせており、ハトも砂嚢をもつ代表的な鳥です。
ハトが何も食べるものがない地面をつついている姿を見かけることがあるかと思いますが、あの行動はエサを食べているだけではなく、砂嚢に石を溜めているのです。
砂嚢に入った小石は、食べた種子と一緒に削られることで小さくなり、最終的に糞として排出されます。
しかし、ペンギンは小魚を主食としており、砂嚢自体が存在しないため小石を飲み込んでいる理由としては当てはまりません。
そのため、これまで有力だった説は、小石を飲み込むことで体の比重を重くし、潜水しやすくするためというものでした。
また絶食への適応という説も唱えられています。
しかし、これらの説はすべてのペンギンが必ずしも小石を飲み込んでいるわけではないことと、潜水のあまり必要のない飼育下でも小石を飲みこんでいる姿が目撃されているため、広く合意(コンセンサス)を得ることはできていません。