音と同じように「沈黙」も聴いているのか?
人々の話し声、電話の着信音、車のクラクションなど、私たちの周りは雑多な音で溢れかえっています。
一方で、会話が途切れたときや神社へのお参りなど、沈黙に遭遇する瞬間も多々あります。
しかし、沈黙は音と同じように知覚されるものなのでしょうか?
一面では「沈黙は音がない状態なのだから知覚のしようがない」と考えられますし、もう一面では「沈黙が認識されている以上それは知覚されているのだ」とも考えられます。
研究主任の一人で心理・脳科学を専門とするチャズ・ファイアストン(Chaz Firestone)氏は、こう話します。
「この問題は何世紀もの間、主に哲学者たちによって議論されてきましたが、科学者による実験的研究はありませんでした。
そこで私たちは、脳が一般的な音を扱うように沈黙を処理するかどうかを問うことにしたのです。
もし沈黙に対しても音の知覚と同じような反応が起こるのであれば、それは私たちが文字どおり”沈黙を聞いている”証拠になるでしょう」
そこで研究チームは検証のため、音にまつわる錯覚実験を用いることにしました。
それは「ワン・イズ・モア錯覚(The One-is-More Illusion)」と呼ばれるものです。