並行宇宙に反対する議論
並行宇宙の証拠や理論を挙げていきましたが、もちろん皆が並行宇宙理論に賛成しているわけではありません。2015年、天文物理学者のイーサン・シーゲル氏は、時空が理論上無限に広がることに賛成したものの、いくつかの限界があるとも述べています。
鍵となる問題は、この宇宙がたったの140億歳以下であるということです。よって、私たちの宇宙の年齢そのものは、無限ではなく有限ということになります。この世界は、粒子が再配置するための可能性の数を限定しているのです。
また宇宙の始まりに起きた拡大は、指数関数的に起きました。というのも、空間そのものの固有のエネルギーが非常に大きいからです。しかし、時間と共にこのインフレーションは明確に遅くなりました。そしてビッグバンで作られた物質の粒子は広がり続けてはいません。
これが意味するのは、マルチバースは異なるインフレーション率と、インフレーションにかかる異なる時間を持つだろうということです。これは宇宙が私たちの宇宙と似通ったものになる可能性を低くするのです。
シーゲル氏いわく、「基本定数や、粒子と相互作用の可能な値が無限に存在するかもしれない問題、そして多世界解釈が実際に私たちの物理的現実を描いているのかといった解釈の問題を脇に置いたとしても、実際には、あり得る結果の数はとても早く上昇し、それは単なる指数関数よりもずっと速いので、インフレーションが真に無限の時間起きない限りこの世界と全く同じ並行世界はありえません」
しかし、他の宇宙が無いことを限界と見る代わりに、シーゲル氏は次のような哲学をもっています。それは唯一であることを祝うことがいかに重要かということです。
彼は後悔が残らないように、あなたの役に立つような選択をするようアドバイスします。というのも、あなたの夢そのものが叶うような選択をした他の現実など無いからです。あなたは、それらの選択を引き起こすことができる「唯一の人間」なのですから。
via: Space.com/ translated & text by SENPAI
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