日本円で1000万円を超える価値があった!
シルベスク氏は当初、隕石の鑑定にあまり乗り気ではありませんでした。
というのも彼女が同大に赴任して18年間、何度も「隕石だと思うから調べてほしい」との依頼を市民から受けたのですが、一度として本物だったことがなかったからです。
しかしマズレクさんが持ってきた岩石を見ると「すぐに何か特別なものだと分かった」と話します。
そして詳しく調べた結果、岩石は鉄が88.5%、ニッケルが11.5%と、地球上の岩石では見られない組成の「鉄隕石」であることが判明したのです。
鉄隕石は一般に約90〜95%が鉄、残りはニッケルとイリジウム、ガリウム、ときに金を含む微量の重金属で構成されています。
(酸素が豊富な地球では鉄が錆びずに残るのは難しいので、天然の鉄の塊があると、だいたい隕石と判断できる)
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さらにこの隕石は過去にミシガン州で見つかった隕石の中で6番目の大きさであり、値段にして約7万5000ドル(日本円で1000万円以上)の値段が付けられました。
シルベスク氏は「これまでの人生で扱ってきた隕石の中で、金額的にも科学的にも最も価値が高いものでした」と述べています。
そんな高価な隕石が約80年もの間、専門家の目に触れぬままドアストッパーとして過ごしてきたことは驚きです。
最終的に、持ち主のマズレクさんは隕石を米ミシガン州立大学(MSU)のエイブラムス・プラネタリウム(Abrams Planetarium)に売り渡し、利益の10%はシルベスク氏の所属する地球・大気科学部に譲渡されました。
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こうしてマズレクさんは一攫千金をものにしましたが、同じようなチャンスは稀ながらも、地上のどこかに転がっているはずです。
先日には、スペイン領のラ・パルマ島に打ち上がったマッコウクジラの体内から50万ユーロ(約7700万円)相当の「龍涎香(りゅうぜんこう)」が発見されました。
龍涎香はマッコウクジラの腸内でのみ産出される結石であり、希少性の高い香料として高値が付きます。
龍涎香はクジラの体外に排出されて海を漂い、浜辺に漂着することがあるものです。
道端や海辺を散歩していて、それっぽい石ころを見つけたときは隕石か龍涎香の可能性もあるので、とりあえずレスキューしておくと、後で幸運が舞い込んでくるかもしれません。