白色矮星を中心に木星軌道の距離をガス惑星が周回する星系のイメージ
白色矮星を中心に木星軌道の距離をガス惑星が周回する星系のイメージ / Credit:W. M. Keck Observatory/Adam Makarenko
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「太陽が滅亡後の太陽系」にそっくりな死んだ星系が見つかる

2021.10.16 Saturday

私たちの太陽は、残りの寿命がおよそ50億年程度だと予測されています。

最後のとき太陽は、木星軌道近くまで膨張してその内側にある惑星を飲み込み、その後は地球サイズまで収縮して核だけを残した白色矮星になります。

ハワイのケック天文台は、そんな太陽が失われた後の太陽系にそっくりな状態の星系を発見したと報告しています。

この星系では、白色矮星を中心に、木星軌道の距離に木星に似たガス惑星が周回しており、それより内側の惑星は失われていました

これは未来の太陽系とそっくりな運命をたどった、太陽系によく似た星系の初めての発見です。

研究の詳細は、10月13日付で科学雑誌『nature』に掲載されています。

A crystal ball into our solar system’s future https://www.keckobservatory.org/white-dwarf-system/
A Jovian analogue orbiting a white dwarf star https://www.nature.com/articles/s41586-021-03869-6

太陽系の最後

赤色巨星となった太陽で焼き尽くされる地球の想像図
赤色巨星となった太陽で焼き尽くされる地球の想像図 / Credit:Wikipedia

恒星は質量によって運命が変わります。

太陽質量の約8倍以下の恒星(主系列星)は、寿命が約100億年程度とされていて、寿命が尽きると大きく膨張し、その後は地球以下の大きさの白色矮星という高密度の核だけを残し、予熱で輝く星になります

このサイズの星は超新星爆発は起こしません。

太陽系は誕生して45億年近くが過ぎているため、あともう50億年経つと、太陽は寿命を迎えることになります。

このとき太陽は木星軌道近くまで膨張して、地球も飲み込まれてしまいます。

100億年で太陽が膨張するのは、そのくらいの期間で内部の水素を使い果たしてしまうためです。

太陽は水素の核融合によるエネルギーで圧力を高め巨大な自重で潰れるのを防いでいます。

核融合できなくなった太陽は、自重で潰れていき内部の温度が高まっていきます。

するとその熱で外層に残った水素が核融合を始めるため膨張するのです。

しかし、それは長くは続きません。結局外層を吹き飛ばしてしまい、最後は核だけが残るわけです。

こうした予想はありますが、その後の太陽系は実際どのような姿になるのでしょうか?

オーストラリアのタスマニア大学などの研究チームは、今回、そんな未来の太陽系にそっくりな状況となった星系を、ハワイのマナケイア山頂にあるW.M.ケック天文台で検出しました。

その星系は、天の川銀河の中心付近に位置していて、白色矮星の周りを木星に近い軌道で巨大ガス惑星が回っていました

これは太陽が死んだ後も木星や土星などの惑星は生き延びる可能性を示唆しています。

次ページ未来の太陽系と同じ運命をたどった星系

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