未来の太陽系と同じ運命をたどった星系
チームは最初、重力マイクロレンズ法と呼ばれる手法を使って、この惑星を発見しました。
これは惑星と、それよりずっと手前にある重い天体、地球が一列に整列したとき発生する拡大現象です。
そこで、チームはこの惑星を照らしている主星を探そうとしましたが、それが思いのほか暗かったため戸惑ったといいます。
データの分析などで、これはその後、白色矮星を周回している惑星だと判明しました。
そしてこの発見が、私たちの太陽のような主系列星が死んだあと、その星系がどうなるかを知る、重要なサンプルであることがわかったのです。
地球は太陽に近いため、太陽が死を迎えたとき、赤色巨星として膨張する太陽から逃れることはできないでしょう。
しかし、太陽から離れた、木星や土星ならこの災厄を生き延び、その後も白色矮星となった太陽の周りの軌道に留まることが可能なようです。
下の画像は今回発見された白色矮星で起きた状況を再現したアニメーションです。
A Crystal Ball into our Solar System’s Future from Keck Observatory on Vimeo.
木星に似た巨大ガス惑星は、太陽から遠い軌道を回っているため、この爆発的な出来事から生き延びています。
主星は水素を燃やし尽くし、その後、崩壊するとき赤色巨星へと膨らんだ後、地球とほぼ同じ大きさ(ただし質量は太陽の半分近くある)の、熱くて高密度のコアだけを残します。
白色矮星は予熱で輝く暗い天体なので、非常に検出が困難です。
しかし、ケック天文台はレーザーガイド星補償光学系システムと近赤外線カメラ(NIRC2)という装置を組み合わせて、高解像度の近赤外線画像を撮影し、この新しく発見された白色矮星と、その外側の惑星を分析することに成功しました。
この分析によると、中心の白色矮星は太陽質量の約60%であり、生き残った巨大ガス惑星は木星より約40%大きいものだったといいます。
研究者は、はるか未来の話とはいえ、もし太陽の最後の日まで人類が生き延びていたとしたら、木星や土星の衛星へ避難すれば、人類は太陽の最後を眺めつつ、生き残ることができる可能性があるようだと話します。
とはいえ、このように太陽の死を木星のような惑星が生き延びることが一般的な出来事なのかどうかはまだわかりません。
チームは今後、似たような星系を探し、これがどの程度珍しいことなのか、あるいは当たり前のことなのかを探っていくそうです。
あと50億年も滅亡せずに生き延びて、木星の衛星から太陽の最後を眺める人類が果たしているのでしょうか?