光の渦はどうやって発生したのか?
2025年3月24日、イギリスやヨーロッパの夜空に突如として出現したのは、青白く光る巨大な渦巻きでした。
この現象はイギリスのリンカンシャーやサフォーク、ウェールズのほか、スウェーデンやポーランド、クロアチアなどでも確認され、SNSでは「UFOを見た」「異世界の扉かもしれない」といった驚きの声があふれています。
実際に撮影された映像を見てみましょう。
画面内では最初、左下から小さな光がゆっくりと浮上してきて、徐々に大きくなりながら光の膜のようなものを飛ばし、そして最終的に青い光のスパイラルに変化していくのがわかります。
この現象全体はおよそ12分間続き、渦が開いた後、約4分後には光が消えていきました。
これだけを見ると確かにUFOかなにかの仕業だと勘違いしてもおかしくありません。
しかしこの光の正体は、イーロン・マスクがCEOを務めるスペースX社の打ち上げた「ファルコン9ロケット」によるものであることが明らかになっています。
ファルコン9は、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられたロケットで、米政府機関のための機密任務を担っていました。
ロケットは、地球の周回軌道にペイロード(積み荷)を投入した後、大気圏への再突入の準備として、上空で残った燃料を放出しています。
この燃料は宇宙空間で瞬時に凍結し、氷の結晶となって広がっていきます。
そして、これらが太陽の光を反射することで、地上から見ると青白い光の渦のように見えていたのです。
特に今回は、ロケットの第2段が回転しながら燃料を放出していたため、光がぐるぐると渦巻くような形を描きました。
この現象は「スペースXスパイラル」と呼ばれており、ロケット技術が生み出す幻想的な天体ショーともいえます。