まるで街路樹のようなハイブリッド発電機
まるで街路樹のようなハイブリッド発電機 / Credit:New World Wind
technology

ちょっと可愛い「街路樹みたいなハイブリッド発電機」

2023.11.20 Monday

道路に沿って植えられている「街路樹」や公園の樹木は、歩行者に日陰を提供したり、都市の景観を向上させたりします。

樹木に見られる自然の美しさから、安らぎを得ている人も少なくないでしょう。

そんな街の景観に溶け込むデザインを目指して新しい発電機が開発されました。

アメリアのニューヨークに拠点を置くエネルギー会社「New World Wind」が開発する発電機は、樹木のような見た目をしており、街路樹と並んで設置しても違和感を与えません。

しかもこの発電機は、風力と太陽光から同時にエネルギーを生成することができます。

aeroleaf hybrid’s tree-shaped wind turbine includes solar panels for dual energy production https://www.designboom.com/technology/aeroleaf-hybrid-new-world-wind-turbine-tree-solar-panels-green-energy-11-14-2023/ What is New World Wind ? https://www.newworldwind.com/

街の景色に溶け込む新時代の発電機

大量のソーラーパネルは景観を損なう恐れがある。設置場所は選ばなければいけない
大量のソーラーパネルは景観を損なう恐れがある。設置場所は選ばなければいけない / Credit:Canva

太陽光発電や風力発電は、持続可能エネルギーとして注目を集めています。

しかしそれらは人工物のイメージが強く、無思慮に設置すると景観を損ないます。

例えば、街中に巨大な風車型の風力タービンを設置したり、広大な敷地をソーラーパネルで埋め尽くしたりするなら、多くのエネルギーを生成する代わりに、無機質なイメージを定着させるでしょう。

私たちが好む「自然豊かで気持ちの良い雰囲気」とは遠く離れているのです。

風力発電や太陽光発電に頼る社会でも景観を大切にしたい。街路樹は景観を向上させる上で役立ってきた。
風力発電や太陽光発電に頼る社会でも景観を大切にしたい。街路樹は景観を向上させる上で役立ってきた。 / Credit:Canva

それでも、私たちの目指す新しい世界、つまり「持続可能な社会」には、これら人工物が生成するエネルギーが必要不可欠です。

こうした課題にアプローチするため、アメリカのエネルギー会社New World Windは、その名が示すとおり、持続可能エネルギーが社会に溶け込んだ新しい世界のイメージを提供してくれました。

まるで樹木のような新しい発電機
まるで樹木のような新しい発電機 / Credit:New World Wind

彼らが開発した新しい発電機は、樹木に似せたデザインを採用しています。

街路に設置された無機質な発電機ではなく、そこに植えられた街路樹のような印象を与えることが目指されています。

街路に設置された発電機。植えらて育った街路樹のよう
街路に設置された発電機。植えらて育った街路樹のよう / Credit:New World Wind

ただ木に見えると言っても、その葉を模したパーツは単なる飾りなわけではありません。

「葉」もしく「つぼみ」に見えるその部品は、風で回転する風力タービンです。

この風力タービンは、その特殊な形状から360°どこから風が吹いても回転する設計になっています。

「葉」もしくは「つぼみ」のような風力タービン
「葉」もしくは「つぼみ」のような風力タービン / Credit:New World Wind

このシステムはベルトやギアを使用していないため騒音は発生しないといいます。

さらに風速2.5m/sの弱い風(髪の毛が若干乱れるくらい)でも電気を生成することができ、年間約300日は稼働するようです。

またこれらの「風力発電の葉」以外に、「太陽光発電の葉」を追加することもできます。

こちらの平らな葉にはソーラーパネルがついており、太陽が出ている限り、電気を生成してくれます。

もう1種類の「葉」はソーラーパネルになっている
もう1種類の「葉」はソーラーパネルになっている / Credit:New World Wind

そしてこれらで構成される樹木のようなハイブリッド発電機は、設置場所に応じていくつかの種類が用意されています。

例えば、一番小さな「WindBush」は高さ5.8mであり、個人宅の庭や狭いスペースに設置できます。

またいくらか大きい「WindPalm」は高さ8.8mであり、30枚の「葉」がついているバージョンの最大出力は、9720Wとなります。

New World Wind社によると、これらを1本設置するごとに、年間で、「家庭での電力消費(暖房を除く)の83%」、または「街灯15本分の電力」、もしくは「電気自動車が1万6364km走るための電力」を賄えるようです。

設置場所に合わせてカラーの変更が可能
設置場所に合わせてカラーの変更が可能 / Credit:New World Wind

ちなみに、「葉」や「幹・枝」はいくつかの色からオーダーできるため、周囲に合わせて、様々なパターンを選択できます。

見た目はまだまだ、自然な木と呼ぶには程遠いものですが、この写真のように景観と馴染ませる試みは、ただ無骨な発電機を設置するより良いものかもしれません。

加えて新しい発電機は、電気自動車を充電するための充電ポートや電子機器の充電に欠かせないUSBポートもついています。

さらにLEDランプを取り付けて街灯として機能させることも可能なのだとか。

街中に設置しても溶け込んでいる。
街中に設置しても溶け込んでいる。 / Credit:New World Wind

まだチープな印象も残るデザインですが、自然エネルギーを利用した発電機は、発電量の少なさや発電の不安定性を補うために、街中のあちこちに設置する必要がでてきます。

そんな持続可能エネルギーが当たり前になった「新しい世界」では、景観に溶け込む樹木など自然の造物に似せたデザインで発電機を設計していくという考え方が重要になるかもしれません。

New World Wind社によると、この新しい発電機は、現時点で、オランダやカナダ、オーストラリア、日本など、世界の130カ国に導入されているようです。

もしかしたら将来、街路樹のようなハイブリッド発電機があちこちに設置され、クリーンな電力が安定して供給される社会が到来するのかもしれません。

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

テクノロジーのニュースtechnology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!