古代の星々は原子質量260以上の超重元素をうみだしていた
宇宙の錬金術(r過程)では、どれほどの重さの原子が作られるのか?
答えを得るため研究者たちは、r過程の研究で良く使用されている42個の初期の星々に含まれる元素を観察しました。
(※特にルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀の比率が調査されました)
初期宇宙では、まだ大量の星が大量の核融合を繰り返し宇宙にばらまくという過程が進んでいないため、金属元素があまり存在していません。そのため非常に金属の欠乏した低金属星となっています。
ところが、こうした低金属星を調べるとなぜか重元素は含まれていることがあるのです。
こうした重元素はr過程で作られた元素であると考えられるため、r過程でどのような元素がどの程度作られるかということを調べる際に利用されるのです。
先に述べたように、r過程によって作られた中性子山盛りの原子は、その後の安定化によってより安定した質量の元素へと変化していきます。
そのため理論的には、星々に含まれる元素のパターンを調べることができれば、母体となる中性子山盛り原子の正体(質量)を調べることが可能となるはずです。
ただ単独の星からのデータだけでは十分な情報量にならないため、今回の研究では42個の星々の観測値をまとめて分析することにしました。
すると、特定の元素のパターンがあることが判明します。
それのパターンは銀やロジウムなど、周期表の中央付近にリストされている元素が、ベータ崩壊や中性子放出によってではなく、核分裂(3つ目)によって生成された重元素である可能性を示していました。
この結果は、r過程によって少なくとも分裂前に260以上の原子質量を持つ元素が生成されていた可能性を示しています。
研究者たちは、この260という原子質量について「非常に興味深い事実です。なぜなら、核兵器実験であろうと、宇宙や地球上の自然界であろうと、これほど重いものはこれまで検出されていなかったからです」と述べています。
もし原子質量260がr過程で生成される最大質量であるならば、その理由を調べることで、宇宙法則の最も基本的な部分を理解できるでしょう。