木星は巨大なガス惑星
木星は太陽系で最も大きな惑星で、質量も太陽系を構成する惑星の中で最大です。
木星の赤道半径は約7万1000キロメートルで、地球の約11倍です。
地球の直径を1センチメートルの「ビー玉」程度とした場合、木星の直径は11センチメートル、陸上競技で使われる「砲丸」と同じくらいのサイズになります。
質量も地球の約318倍あります。体積では1300倍です。そのため、木星表面の重力は、地球上の重力の約2.5倍になります。
このように巨大な木星ですが、内部の密度はそんなに大きくありません。質量が地球の約318倍に対して体積では1300倍なので、密度は地球の約4分の1です。
木星は主に水素やヘリウムなどのガスで構成されたガス惑星のため、密度が低いのです。
木星の目を引く点は、大きさの他に特徴的な縞模様が挙げられます。
木星を望遠鏡で見ると、うっすらとしたいくつかの縞模様が確認できます。写真に撮影すると赤茶色と白色の縞模様がはっきりと写ります。
また、木星表面には縞模様の他にも渦状の構造があり、目玉のような赤い模様「大赤斑(だいせきはん)」が有名です。
なぜ木星は巨大になったのか?
なぜ木星はこのように巨大な惑星に成長したのでしょうか?
この謎を解くためには、太陽系がどのように形成されてきたかを理解する必要があります。
太陽系形成のプロセスについて、多くの研究者が考えているシナリオは次のようなものです。
まず、ガス雲の特に濃い部分が重力で収縮して原始太陽となります。
そして、原始太陽から遠く離れた場所では、回転運動するガスが中心に向かわずにガス円盤を形成します。
このガス円盤には固体の成分(チリ)も含まれます。このチリが集まってできるのが「微惑星」と呼ばれる岩石の塊です。
木星軌道では、1000万年ほどで地球質量の2倍程の微惑星ができます。微惑星が衝突・合体して惑星の元となる原始惑星ができます。
木星の領域にはガスも豊富にあったので、木星の表面へガスが降着しました。
その後、太陽からの光(紫外線)やガス円盤を貫く磁場の働きによってガスが散らばります。また、木星の重力によって周りのガスが引き寄せられ、勢い余ってはじけ飛ぶこともあります。
要するに、周りに惑星をつくる材料(チリやガス)などがたくさんあったため、木星はここまで大きくなれたということです。また、木星の成長が速かったため、ガスがなくなる前に多くのガスを集めることができたというのも大きな要因です。
もし木星がもっと大きかったら?
太陽も木星も水素とヘリウムでできています。
ということは、木星がもっと多くのガスを集めて大きくなっていたら太陽のように自ら光を放つ恒星になっていたかもしれません。
星の誕生をシミュレーションした結果によると、太陽の8%以上の質量がないと継続的な核融合反応は起きないのです。つまり、太陽質量の8%のガスを集めないと恒星にはなれないということです。
木星の質量は太陽の約0.1%ですから、あと80倍重かったらもう一つの太陽が空に輝いていたかもしれません。
その場合、太陽系は2つの太陽が回る連星系になっていたでしょう。
2つの太陽が回る惑星が舞台のSF作品というと、スター・ウォーズに登場するタトゥーインが有名ですね。
木星がもっと巨大化していた場合、こんな光景が地球の空に広がっていたかもしれません。