ADHDとスマホの過剰使用はどちらが先にあるのか?
その一方で、米スタンフォード大学(Stanford University)の精神科医であるイライアス・アブジャウドゥ(Elias Aboujaoude)氏は「ADHDとスマホの過剰使用との関連性は長らく、卵が先か鶏が先かという問題になっている」と話します。
というのも、最初にADHDを発症しているからこそ、注意散漫になってスマホを頻繁に見てしまうのか、それともスマホを頻繁に見ていることで、ADHDの症状を発症してしまうのかという2通りの考え方ができるからです。
この点を明らかにするために世界各地で研究者らが調査を進めてきましたが、近年では、スマホ使用がADHDの発症原因となっている証拠が増えつつあるという。
ミネソタ大学(University of Minnesota)の精神科医であるリディア・ジロウスカ(Lidia Zylowska)氏は「スマホを含む電子機器の過度な使用は、すでにADHDと診断されている人の症状を悪化させたり、ADHDでない人の健康な脳を注意散漫な状態にさせる可能性が十分にある」と指摘します。
ADHDは歴史的に、先天的な脳の神経発達障害が原因とされるのが普通でした。
しかしここまでの説明が正しければ、私たちは発達障害とは別に、後天的な行動習慣によってADHDと診断を受ける状態になってしまっている可能性があるのです。
読書でも映画鑑賞でも長時間じっと座って作品に集中できず、ちょくちょくスマホをチェックしてしまうという人は多いのではないでしょうか。
仕事でも同様で、昔より作業に時間がかかったり、ミスをすることが増えたという人も多いかもしれません。
スマホを手放せず、SNSなどが気になって仕方がない現代人は、すでに大半がADHDの症状を少なからず発症してしまっている可能性があります。
ADHDは不安やうつ症状、自己肯定感の低下など、個人の心理面に影響するだけでなく、周囲との人間関係を悪化させる原因にもなります。
今回の話を聞いて、心当たりのある方は意識的にスマホを遠ざけて、なにかに集中するという習慣を心がけた方がいいかもしれません。
いわばスマホADHD。日本では、奥村歩さんの「スマホ認知」があるけど、よく似ている考え方だなぁと感じた。