キロノヴァが発する3種類の放射線
キロノヴァは、主に2つの中性子星が衝突することで発生する大規模爆発です。
中性子星とは、太陽質量の約10〜30倍の恒星が寿命を迎えて爆発した後に残される超高密度の天体で、主に太陽の1.4倍程度の質量を持ちます。
白色矮星の爆発によって生じる新星(nova)より約1000倍の明るさに達することからキロノヴァ(kilonova)と命名されました。
一方で、超新星(supernova)に比べると明るさは10分の1〜100分の1程度といわれています。
では、キロノヴァが発生すると何が起こるのか、下図を参照して見てみましょう。
まずキロノヴァが起きると、最初に高エネルギーの「ガンマ線バースト(GRB)」が発生します。
ガンマ線バーストは現在、宇宙で知られている中で最も光度の高い閃光現象の一つであり、キロノヴァの場合、衝突した星の両極側から2方向のジェットとして噴出します。
それに続いて、ガンマ線バーストが周囲の星間物質に衝突することで強力な「X線」が発生します。
これがキロノヴァ発生後の数日〜数年間に起こることです。
さらにその後はキロノヴァの残留物から「宇宙線(Cosmic rays)」の衝撃波が数千年にわたり広く放出され続けます。
では、これら3種類の放射線はどれくらい危険であり、またどれくらいの距離にあれば、地球はキロノヴァの影響から無事でいられるのでしょうか。