トール・アルヴァは900時間ですべての部品を印刷可能
世界で最も高い3Dプリントタワーで気になるのは、やはり3Dプリントにおけるメリットです。
まずメリットの1つである工期は、トール・アルヴァの場合、すべての印刷に900時間かかると予想されています。
1日8時間稼働させた場合、約113日で印刷し終えることになりますね。
部品を組み合わせるためにさらに時間がかかる可能性もありますが、それでも従来の建設方法と比べると、短期間で建設できることになります。
通常30mの建物(オフィスビルで7~8階建て)の工期は、1年かそれ以上になることもあります。
もちろん、部品から作成する「デザイン性を求めたタワー」と「通常のビル」では、分野が大きく異なります。
それでも、新しいタワーにおいて、「工期か短い」という3Dプリントのメリットは十分に反映されていると言えます。
一方で、耐久性については、今回のプロジェクトでは多くのことは分からないでしょう。
トール・アルヴァは2024年6月にはオープンする予定ですが、5年後の2029年には解体されるからです。
また、仮にトール・アルヴァが5年間の使用に耐えたとしても、同じものが日本で活用できるとは限りません。
なぜなら災害が多い日本では、世界の中でも建築基準法が非常に厳しく、それをクリアしなければ3Dプリンター住宅が建つことはないからです。
仮に日本でトール・アルヴァのような3Dプリントタワーが建設されるとしても、それはかなり先のことになるでしょう。
そうした事情も考えると、5年以内にスイスに行く機会があるなら、「世界で最も高い3Dプリントタワー」は今だけの珍しい建築物として訪れる価値があるかもしれません。