中国の特定の山脈だけに生息する「茶色パンダ」
通常のジャイアントパンダは黒色と白色ですが、「茶色パンダ」または「秦嶺パンダ」と呼ばれるジャイアントパンダの一種(学名:Ailuropoda melanoleuca qinlingensis)は、茶色と白色の模様を持っています。
このパンダは、中国中部を東西に貫く標高1300~3000mの「秦嶺山脈(しんれいさんみゃく)」にのみ生息している貴重な存在です。
1985年に最初の1頭が発見されて以来、世界中がこの茶色パンダに注目してきました。
2005年には、ジャイアントパンダの亜種として正式に認められています。
ほとんどの茶色パンダは、ジャイアントパンダとほぼ同じ大きさで、体長は1.2~1.8m、体重は60~190kgだと言われています。
これまでに写真や実物が確認されているのは7個体ですが、秦嶺山脈には野生の茶色パンダが200~300頭生息していると推定されています。
最初に記録された茶色パンダのメスは、「ダンダン」と名付けられ、動物園で保護されたようです。
その後ダンダンは2000年に亡くなりました。
ところが2009年、秦嶺山脈で親から離れて衰弱している茶色パンダの赤ちゃん(オス)を発見。秦嶺ジャイアントパンダ研究センターで保護することに成功しました。
彼は「チーザイ」と名付けられ、現在飼育下で生存している唯一の茶色パンダとなりました。
では、どうして茶色パンダはそのような特殊な色になるのでしょうか。
今回、グアン氏ら研究チームは、貴重な茶色パンダの遺伝子を調べることで、その原因を明らかにしました。