臓器移植で性格が変わった経験談
臓器提供で性格が変化したケースはこれまでに数多く報告されています(Integrative Medicine, 2000)。
例えば、47歳の白人男性の患者は、バイオリン教室に向かう途中で車にはねられて亡くなった17歳の黒人学生から心臓提供を受けました。
男性はそれまでクラシック音楽が大嫌いだったのに、術後から急に音楽の好みが変わって、積極的にクラシックを聴くようになったのです。
また他にも、9歳の少年がプールで溺死してしまった3歳の少女から心臓提供を受けたケースのこと。
少年はそれまでプールで泳ぐのが大好きだったのですが、術後から水をひどく怖がってプールに近づかなくなったといいます。
さらに56歳の大学教授が、勤務中に殉職した34歳の警察官から心臓を受け取ったケースによると、男性患者は術後から「顔に強い光が差し込んで、ひどく熱くなるのを感じる夢」を頻繁に見るようになりました。
ドナーの家族に話を聞くと、殉職した警察官は麻薬密売人の取引を阻止しようとして、顔に銃弾を受けて亡くなっていたことがわかったのです。
こうした例は他にも枚挙にいとまがありません。
臓器提供を受けた患者は、食や芸術、性衝動、仕事に対する好みが変わったり、自分の経験にはないはずの「記憶」が頭に浮かんだりしているのです。
こうした変化が起こるのは何も心臓の提供を受けたときだけではありません。
コロラド大学が最近、心臓の移植を受けた患者23名と他の臓器の移植を受けた患者24名にインタビューしたところ、臓器の部位に関係なく、約90%の患者が何らかの「性格の変化」や「記憶の植え付け」を経験していたことがわかったのです。
もちろん、そのすべてが良い方向に変化するのではなく、中には急に短気になったり、情緒が不安定になるケースもありました。
しかしいずれにせよ、臓器移植でドナーの性格や記憶が乗り移るとは、一見するとオカルティックで信じがたい現象です。
どうしてこのような不可思議な現象が起こるのでしょうか?