キャッシュレス決済に慣れると支出は減っていく
時間経過とともにキャッシュレス効果が弱まる理由は、人の支出に対する意識が慣れとともに高まるためだと考えられます。
キャッシュレス決済を利用し始めたばかりの頃は、便利さから支出が増えてしまいますが、慣れてくるとその利便性に対して意識的に支出を管理するようになる人が多いためだと考えられます。
現金に比べて消費の痛みは減るものの、結局は貯金額などは目減りしていきます。PayPayのようなスマホの決済だと決済履歴なども表示されるため、そこをチェックすることで支出額を自覚していく人もいるでしょう。
そのため、キャッシュレス決済に慣れた人は、自身の消費行動に対する意識を高め、支出管理がより注意深くなっている可能性があるのです。
つまり、消費者は非現金決済の影響を理解し、それに基づいて自己制御を強化していけるのです。
ただ、そうは言っても誰もが自己制御が得意なわけではありません。
そのため研究者たちも「支出を簡単に減らしたいなら、現金を持ち歩くのが有効だ」と述べています。
新札が発行される今がチャンスかも?
ちなみに日本では2024年7月3日から、旧紙幣の人物とデザインが変更された新札の発行が始まります。
千円札は野口英世から「北里柴三郎」へ、五千円札は樋口一葉から「津田梅子」へ、一万円札は福沢諭吉から「渋沢栄一」へとそれぞれバトンタッチされます。
北里柴三郎(1853〜1931)は、「近代日本医学の父」と称される微生物学者であり、破傷風菌培養の成功や破傷風菌抗毒素の発見を行い、伝染病研究所や慶応大学医学部を創設した人物です。
津田梅子(1864〜1929)は、女子英学塾(現・津田塾大学)の創設者として知られ、女性の地位向上と女子高等教育の普及に大きく貢献しました。
そして渋沢栄一(1840〜1931)は「日本近代社会の創造者」と呼ばれ、実業界で活躍し、明治政府では大蔵省の官僚として政策の立案に関わるなど、明治維新後の国づくりに大きく貢献しています。
お札のデザインが変わったとなると、物珍しさから手に入れて持ち歩きたくなる人もいるでしょう。
キャッシュレス決済には当然、スムーズな決済や衛生面のリスク回避など、さまざまな利点があるので手放す必要はないでしょうが、この新しいお札が出回るタイミングで、現金を持ち歩く習慣を取り戻してみると、知らず知らずのうちに貯金が溜まっていくかもしれません。