キャッシュレス払いだと支出が増える!
ここ10年の技術の進歩に伴い、お金を支払う方法は世界的にガラリと変わりました。
スマートフォンのPayPayアプリやクレジットカードによって、現金を使うことなく簡単に支払いが済ませるようになったということは誰もが実感していることでしょう。
これに加えて、ネットを介した後払い方式や仮想通貨決済もキャッシュレスの新たな選択肢となっています。
さらに現金離れの流れは2019年末に始まったコロナパンデミックによって加速しました。
お札や釣り銭の受け渡しに衛生面でリスクがあることから、現金払いの回避が世界的に進んだのです。
ただキャッシュレス決済は便利ですが、現金決済に比べてお金の使い方を雑にするのではないか? という危惧を抱いている人は多いでしょう。
では、実際お金の支払い方が変わったことで人々の支出額に何らかの変化はあったのでしょうか?
それを明らかにするために今回の研究チームは「支払い方法」と「消費行動」に関する過去40年以上の研究報告(世界17カ国、計1万1000人以上を調査した71件の研究)をメタ分析しました。
40年前にもキャッシュレス決済があったの? という人もいるかもしれませんが1980年代にはクレジットカードやデビットカードの利用が始まっています。
40年前の研究もあることからわかるように、キャッシュレス決済方法が消費者の支出行動に影響を与えることは古くから知られており、これは「キャッシュレス効果(cashless effect)」と呼ばれています。
今回のメタ分析では、キャッシュレス払いが現金払いに比べ、一貫して消費者の支出額を高くさせていることが判明しました。
またこの効果は、キャッシュレス決済方法の特性からは影響を受けないことが示されていて、スマホアプリやクレジットカード、デビットカードや後払い方式のどれであっても、現金払いよりお金をより多く使っている傾向が見つかりました。
ではキャッシュレス決済だと、支出が増えてしまう理由はなんなのでしょうか?
研究者たちは、この効果が起こる根本的な原因として「支払うことの痛みが減るからだ」と説明しています。