マウス研究の最中にたまたま発見
偶然の発見は、体内に自然に存在する糖類である「デオキシリボース(deoxyribose)」の研究から始まっています。
研究チームは足かけ8年以上にわたり、マウスの局所的な傷の治癒についての研究を続けていました。
その中で、露出した傷口にデオキシリボースを塗布したところ、何も処置しなかったマウスに比べて、傷口周辺の毛がすくすくと早く再生することに気づいたのです。
これは予想外の出来事でした。
そこでチームは急遽、デオキシリボースの育毛効果について調べ、他の治療薬と比べてみることにしました。
AGAに効く治療薬は少ない、副作用がある場合も
そもそもAGAの治療薬として認可されている薬剤は非常に少ないです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)によれば、「ミノキシジル」と「フィナステリド」の2種類にしか正式に承認されていません。
(日本では、この2種類に加えてデュタステリドという薬剤も承認されている)
ミノキシジルはAGAの脱毛を遅らせながら、毛髪の再成長を促すことができますが、すべての人に効果が期待できるわけではありません。
もしミノキシジルで効果が出なければ、フィナステリドに頼ることができます。
フィナステリドは男性患者の約80〜90%で脱毛を遅らせる効果がありますが、一度開始すると継続的に服用し続けなければなりません。
その中で勃起不全や精巣痛、性欲減退、抑うつ症状といった副作用が生じる場合があります。
そのため、AGAの治療は依然としてハードルが高く、治療薬としても別の選択肢を探す必要がありました。
こうした背景の中で、偶然にも発見されたのが「デオキシリボース」だったのです。