極度のナルシストたちは「非現実的な優越感」により気分を持ち直すのが得意
分析の結果、ナルシシズムのレベルが高い人は、それが低い人に比べて、大げさな言葉を使ったり、大げさな空想にふけったりする傾向が著しく高いと分かりました。
このことは、極度なナルシストが、誇大性(自分自身の能力や価値を実際以上に高く評価すること。非現実的な優越感)を示す傾向と合致しています。
また今回の研究結果により、ナルシストたちが示す非現実的な優越感(誇大性)が、彼らの気分を持ち直すのに役立っていることも分かりました。
一般的な人(ナルシストではない人)は、嫌なことがあった後に気分を持ち直そうとしても、そこまで上手にコントロールできません。
気分転換しようと努めても、ネガティブな感情がある程度残り、ポジティブな感情もそこまで高まることはないのです。
しかしナルシシズムのレベルが高く非現実的な優越感を示す人は、そのような一般人に比べて、ネガティブな感情を抑制し、ポジティブな感情を高めることができていました。
ナルシストたちにとって非現実的な優越感は、気分をコントロールするための効果的な手段だったのです。
ちなみに今回の研究では、一般的に広く言われる「ナルシスト」ではなく、病的なほどのナルシシズムを示す人に主に焦点を当てています。
一般的なナルシストは、「自己評価が高く、他人からの称賛や注目を求める傾向が強い」程度ですが、病的なナルシシズムを示す人は、より深刻であり、個人の精神的傾向や人間関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。
また後者は、人格障害の1つである自己愛性パーソナリティ障害(NPD)とも密接に関わっています。
そのような人々は、「自分は世界の皆から愛されるべきだ」「俺は唯一無二の才能を持っている」などといった非現実的な優越感を抱くことがあり、この思考の傾向が、彼らが気分を持ち直すのに役立っているというわけです。
研究チームは、この効果を「短期的なメリット」と称していますが、「今後の研究で、その長期的な影響も考慮すべきだ」と続けています。
確かに、極度のナルシストたちが示す非現実的な優越感は、一時的には気分を上手く調節できるかもしれませんが、長期的にはデメリットの方が多そうです。
本人はそれでいいかもしれないが、周りの人間はたまったものではない。