ディープフェイクが作る左右の瞳の光の物理的矛盾を天文学の画像処理技術が見抜く
ディープフェイクが作る左右の瞳の光の物理的矛盾を天文学の画像処理技術が見抜く / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
artificial-intelligence

【瞳の奥の銀河】ディープフェイクの矛盾を「天文学の銀河分析技術」が見破れると判明!

2024.08.08 Thursday

最近では、AIを用いて簡単に偽画像や偽動画を作成することができます。

ネット上に溢れるそれらディープフェイクは本物の映像にしか見えないため、「どのようにディープフェイクを見分けるのか」という課題があります。

そんな中で、「天文学」という異なる分野から、ディープフェイクを見分ける方法が発見されました。

イギリスのハル大学(University of Hull)に所属する天体物理学者ケビン・ピンブレット氏ら研究チームが、銀河の画像を分析する方法を使って、フェイク画像の人物の目には、ある特徴が存在することを発見したのです。

研究の詳細は、天文学会議「National Astronomy Meeting 2024」で発表され、王立天文学会(RAS)の2024年7月17日付の『ニュース』に掲載されました。

Want to spot a deepfake? Look for the stars in their eyes https://ras.ac.uk/news-and-press/news/want-spot-deepfake-look-stars-their-eyes Astronomers discover technique to spot AI fakes using galaxy-measurement tools https://arstechnica.com/information-technology/2024/07/astronomers-discover-technique-to-spot-ai-fakes-using-galaxy-measurement-tools/

「銀河画像の光の分布を分析する技術」が偽画像の検出に役立つ

ディープフェイクとは、AIを応用した画像・映像合成技術のことであり、2つの画像や動画を組み合わせることで、まるで本物のような偽画像や偽動画を作成することができます。

そして最近では、ディープフェイクを利用して著名人の信頼性を落としたり、詐欺を行ったりするなど、様々な場面で悪用されています。

例えば2023年には、元アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏が逮捕されるディープフェイク画像が出回りました。

ネットは既にディープフェイク画像で溢れており、それらを本物の画像と見分ける方法が必要とされています。

星を見る技術が、偽画像の検出に役立つ
星を見る技術が、偽画像の検出に役立つ / Credit:Canva

今回、天文物理学者のピンブレット氏ら研究チームは、ディープフェイクを見分ける方法に「を見る技術」が使えることを発見しました。

彼によると、銀河の形状の測定では、「濃度」「対称性」「光の分布」などを分析するようです。

その中で、ディープフェイクを見分けるために特に効果的だったのが、ジニ係数を用いた光の分布の分析だったそうです。

ジニ係数の値は0~1の間を取り、「値0では、光が画像のすべてのピクセルに均等に分散されている銀河」を示し、「値1では、すべての光が1つのピクセルに集中している銀河」を示します。

そして、この光の分布の分析が、フェイク画像に登場する人物の「目の光の不自然さ」を明らかにしてくれるというのです。

次ページ目の光の左右差が本物かディープフェイクかを教える

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

AI・人工知能のニュースartificial-intelligence news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!