人間の脳は「使わなければ失われる」
そこまで遠くない昔、私たちは自分で情報を集めて記憶し、比較・吟味することで正しい判断を下していました。
しかし今、スマートフォンを取り出して検索すれば、簡単に「答え」が見つかります。
また、どんなデバイスからでも、クラウドベースの連絡先リストにアクセスし、様々な方法で即座に誰とでも連絡を取ることができます。
知り合いの電話番号を正確に覚えている人など数少ない時代になったのです。

また、ナビゲーションシステムの登場により、多くの人は目的地までの道順を覚える必要がなくなりました。
実際、過去の研究では、GPSの使用頻度が増えると空間記憶力が急激に低下することが示唆されています。
では、AIの登場は、私たちにどんな影響を及ぼしているでしょうか。
最近の生成AIは高性能であり、巧みな文章やアイデアを自動生成できます。
わざわざ自分で探したり考えたりしなくても、AIがそれらしい「答え」を提示してくれるのです。
問題は、この「楽をする」ことが、脳の働きにどんな影響を与えているのか、ということです。
今回、Microsoft Researchの研究者たちは、こうした疑問の答えを提出するための調査を行いました。