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【スタンディングデスクもダメ】立ったままのデスクワークも健康に害があると判明 (2/3)

2024.10.22 Tuesday

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立ちっぱなしが長いほど、循環器疾患リスクが高まる!

研究チームは今回、立ちっぱなしがどのような健康利益をもたらすかを明らかにすべく、英国在住の8万3013名(平均年齢61.3歳)のデータを調査対象としました。

この大規模データは英国の長期大規模追跡調査「UKバイオバンク」に登録されている人々から収集しています。

これらの被験者は研究開始時には何らの循環器疾患を有していません。

そして手首に1日の座位時間や立位時間、運動量などを追跡記録できるデバイスを装着しました。

その後、座位時間や立位時間の長さごとにグループ分けして、各種の疾患リスクがどのように異なるかを比較。

すると非常に興味深い結果が示されたのです。

まず従来の研究どおり、1日の座位時間が長い人ほど循環器疾患のリスクが高く、特に1日10時間も座っている人では心血管疾患および起立性疾患の発症リスクが増大していることが確認されました。

起立性疾患とは座った状態から立ち上がったときの血圧の変化で立ちくらみがするような症状のことをいいます。

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ところが最も興味深かったのは、立ちっぱなしの時間も長くなるほど健康へのデメリットが大きくなっていることでした。

特に1日2時間以上立ちっぱなしの生活が続いている人では、立位による脳卒中や心不全といった心血管疾患の発症リスク予防にはつながっていなかったのです。

逆にこれらの人は立ちっぱなしが1日2時間未満の人に比べて、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)や深部静脈血栓などの循環器疾患の発症リスクが11%も高くなっていました。

下肢静脈瘤とは、血液が心臓に戻る足の静脈が太くなって瘤(こぶ)のようなものができる症状を指します。

これは静脈の弁が機能障害を起こし、血液を心臓に戻すことが難しくなることで、静脈の一部に血液が溜まりやすくなる症状です。

下肢静脈瘤が直接命に関わることはありませんが、痛みや歩くときの違和感、だるさや重さ、むくみなどの症状が現れます。

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一方で、深部静脈血栓は体の奥側の静脈、つまり深部静脈に血液の凝固が起きてしまう症状です。

下肢静脈瘤は体の表面の静脈(=表在静脈)に瘤ができるものでしたが、こちらは筋肉の中や骨の近くにある静脈に症状が出ます。

深部静脈血栓になると、脚や腕の腫れが生じたり、血栓による炎症に伴う痛みが起こります。

これらは共に、長時間同じ姿勢を取り続けることで筋肉をあまり使わなくなり、血液を心臓に戻す筋力が弱まることで静脈の機能が阻害されやすくなります。

特に立ちっぱなしになると、重力の影響で血液が足に溜まりやすくなり、静脈内の血圧が高まることで静脈の弁の機能を壊してしまうことがあるのです。

以上の結果から、座りっぱなしだけでなく、立ちっぱなしにも健康への害悪があることが認められました。

しかし、座りっぱなしもダメ、立ちっぱなしもダメだとすれば、どうするのがいいのでしょうか?

次ページでは一体どうしろと言うのか?

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