では一体どうしろと言うのか?
この結果を受けて、研究主任のエマニュエル・スタマタキス(Emmanuel Stamatakis)氏は「1日の中で定期的に立ち上がって軽い運動を取り入れるのが最も最良の方法である」と話します。
例えば、部屋の中を歩き回る、昇降運動をする、ストレッチやエクササイズを取り入れるなどです。
では具体的に、1日にどれくらいの運動量がいいのでしょうか?
これに関してはノルウェーの研究チームが2020年に報告しています(British Journal of SportsMedicine,2020)。
この調査では、4カ国の合計4万4370人を含む大規模データを対象に分析した結果、中程度以上の運動を1日に約30〜40分間行っていた人は、座りすぎに伴う死亡リスクが有意に減少していたことが判明しました。
中程度以上の運動とは、心拍数や呼吸数が通常よりも増加するものの、まだ会話はできるレベルの身体活動です。
これにはサイクリングや少しスピードを速めたウォーキング、社交ダンスやエアロビクス、水泳などが当てはまります。
デスクワークをしているなら、大体1時間ごとに立ち上がって5〜10分ほどの運動を取り入れるといいでしょう。
そうすれば、座りっぱなしと立ちっぱなしの両方の弊害を回避できるはずです。
賢人たちは昔から「極端に偏らず、過不足なく調和の取れたバランス」を意味する「中庸(ちゅうよう)」の大切さを説いてきました。
座りっぱなしがダメだからといって、真逆の立ちっぱなしに振り切るのもやはりダメなようです。
日々のデスクワークでも「〜っぱなし」のような極端な行動はやめて、適度に座り、適度に立ち上がるのが良いのでしょう。