本当の心臓発作は「ドラマのように派手じゃない」
心臓発作(医学的には急性冠症候群)は、命に関わる緊急事態です。
その代表的な症状は胸の痛みですが、その現れ方は非常に多様です。
にもかかわらず、私たち一般人が心臓発作について抱くイメージは、たいてい”ドラマ的”なものに偏っています。
その代表格が「突然、胸を強く押さえて倒れ込む」というハリウッド的な描写です。

しかし実際の心臓発作は、こうした劇的な痛みよりも、「胸が重い」「押さえつけられるような圧迫感」「なんとなくおかしい」といった曖昧な違和感から始まることが少なくありません。
特に女性の場合、心臓発作の症状が男性とは異なるケースも多く、胃の不快感(胃もたれ、胸焼けなど)、首、肩、背中、あごの痛み、強い疲労感や倦怠感、吐き気やめまい、息切れや動悸などがあります。
それでも人々は「胸が激しく痛まないから大丈夫」「倒れるほどではないから様子見でいいだろう」と考えがちです。
これが、救命率を下げる重大な原因となるのです。
こうした背景を受けて、ISUとUTAの研究チームは、「一般市民がACS関連の胸痛をどのようにイメージしているか」を明らかにする調査を行いました。
研究では、単に医学的な事実ではなく、人々が頭の中で想像する”症状のストーリー”に焦点を当てたのが特徴です。
調査は、米国在住の35歳以上の成人597人を対象にオンライン調査が実施されました。
平均年齢は54歳で、医療従事者などの専門家は除外されています。
使用された質問票は「Chest Pain Conception Questionnaire(CPCQ)」という、心臓発作に関連する胸痛のイメージを調査するための標準化されたツールです。
回答者には、痛みの質、強度、苦痛度、持続時間、発生部位などについて5段階評価や選択肢を用いて答えてもらいました。
また、彼らが心臓発作についてどのような情報源から知識を得ているか(テレビCM、ニュース、家族や友人の体験、医療従事者など)についても調査されました。