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心臓発作はいつもドラマのようではない / Credit:Canva
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心臓発作は必ずしも「ドラマのように派手」ではない!誤解者多数と判明

2025.07.25 20:00:13 Friday

心臓発作といえば、「ウッ」と急に胸を押さえて床に倒れ込むという劇的なシーンを想像する人は少なくないでしょう。

映画やテレビドラマの中で繰り返し描かれるこの”ハリウッド式心臓発作”のイメージは、視聴者の脳裏に強く刷り込まれています。

しかし、現実の心臓発作は、そのような劇的なものばかりではありません。

アメリカのイリノイ州立大学(ISU)とテキサス大学アーリントン校(UTA)の研究チームは、人々がどのように心臓発作の胸痛をイメージしているのかを調査しました。

その結果、多くの人々が偏ったイメージを持っているが明らかになったのです。

この研究成果は、2025年5月8日付の『Heart & Lung』誌に掲載されました。

We know the ‘Hollywood heart attack,’ but it doesn’t always reflect real life https://newatlas.com/health-wellbeing/hollywood-heart-attack-conception-real-life/ Heart attacks don’t follow a Hollywood script https://www.uta.edu/news/news-releases/2025/07/10/heart-attacks-dont-follow-a-hollywood-script
Gender differences in the public’s conceptions of acute coronary syndrome-related chest pain https://doi.org/10.1016/j.hrtlng.2025.04.029

本当の心臓発作は「ドラマのように派手じゃない」

心臓発作(医学的には急性冠症候群)は、命に関わる緊急事態です。

その代表的な症状は胸の痛みですが、その現れ方は非常に多様です。

にもかかわらず、私たち一般人が心臓発作について抱くイメージは、たいてい”ドラマ的”なものに偏っています。

その代表格が「突然、胸を強く押さえて倒れ込む」というハリウッド的な描写です。

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心臓発作の症状は多用。ドラマのように派手ではないことも多い / Credit:Canva

しかし実際の心臓発作は、こうした劇的な痛みよりも、「胸が重い」「押さえつけられるような圧迫感」「なんとなくおかしい」といった曖昧な違和感から始まることが少なくありません。

特に女性の場合、心臓発作の症状が男性とは異なるケースも多く、胃の不快感(胃もたれ、胸焼けなど)、首、肩、背中、あごの痛み、強い疲労感や倦怠感、吐き気やめまい、息切れや動悸などがあります。

それでも人々は「胸が激しく痛まないから大丈夫」「倒れるほどではないから様子見でいいだろう」と考えがちです。

これが、救命率を下げる重大な原因となるのです。

こうした背景を受けて、ISUとUTAの研究チームは、「一般市民がACS関連の胸痛をどのようにイメージしているか」を明らかにする調査を行いました。

研究では、単に医学的な事実ではなく、人々が頭の中で想像する”症状のストーリー”に焦点を当てたのが特徴です。

調査は、米国在住の35歳以上の成人597人を対象にオンライン調査が実施されました。

平均年齢は54歳で、医療従事者などの専門家は除外されています。

使用された質問票は「Chest Pain Conception Questionnaire(CPCQ)」という、心臓発作に関連する胸痛のイメージを調査するための標準化されたツールです。

回答者には、痛みの質、強度、苦痛度、持続時間、発生部位などについて5段階評価や選択肢を用いて答えてもらいました。

また、彼らが心臓発作についてどのような情報源から知識を得ているか(テレビCM、ニュース、家族や友人の体験、医療従事者など)についても調査されました。

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