アンキロサウルスの鎧はどれほど頑丈だったのか?
アンキロサウルス類は「鎧竜類」あるいは「曲竜類」と呼ばれる草食恐竜の一大グループです。
約1億7400万年前のジュラ紀中期に出現し、恐竜時代の最後である約6600万年前の白亜紀末まで地球に生息していました。
アンキロサウルス類は大きく分けて「アンキロサウルス科」と「ノドサウルス科」の2つに大別できますが、いずれも頭頂部から背中、尻尾、体側面までを覆う頑丈な装甲を最大の特徴としています。
装甲の形状は種によってさまざまで、岩のようにゴツゴツした比較的平らなものもあれば、下のように無数のトゲ状になった装甲もありました。
アンキロサウルスの鎧はオス同士の争いや天敵の肉食恐竜からの保護に役立ったと見られますが、その一方で、具体的にどれほどの衝撃に耐えうるものだったのかは定かでありません。
その理由の一つは、アンキロサウルスの装甲を覆う「ケラチン層」がうまく化石化しないためです。
(※ ケラチンは人の爪や髪の毛を作る主成分の一つ)
アンキロサウルスの装甲はカメの甲羅と同じように、骨からなる骨板とその表面上を覆うケラチンプレートでできています。
カメの甲羅では、骨でできた部分を「甲板(こうばん)」と、甲板を覆うケラチン層を「鱗板(うろこばん)」といい、この2層構造のおかげで非常に頑丈な作りとなっているのです。
しかしケラチン層は骨と違って腐敗しやすいので、化石化しにくくなっています。
アンキロサウルスの化石においても、骨でできた装甲部分はよく見つかるのですが、それを覆うケラチン層がうまく保存されておらず、衝撃への正確な強度が確かめられませんでした。
ケラチン層にどれほどの厚みがあったかで装甲の強度は大きく変わるので、これは無視できない重大な問題となります。
ところが2017年になって、この現状を一挙に覆してくれる奇跡のような化石の存在が公表されたのです。