まるで恐竜のミイラ。奇跡のようなアンキロサウルスの化石
まずはその実際の写真を見てみましょう。
こちらです。
まるで恐竜のミイラのように全身がほぼ完全な状態で保存されており、公表された当時は世界中の古生物学者たちを驚嘆させました。
これは今現在でも、過去に見つかった恐竜化石の中で最も保存状態の良い標本の一つとされています。
こちらの化石標本は2011年にカナダ・アルバータ州の白亜紀地層から発見されたノドサウルス科の一種です。
発見後、技術者のマーク・ミッチェル(Mark Mitchell)氏が5年の歳月をかけて、余分な岩石を慎重に取り除き、上のような研究可能な状態にまで復元しました。
そのため、本種の学名は「ボレアロペルタ・マークミッチェリ(Borealopelta markmitchelli)」と命名されています。
属名の「ボレアロペルタ」は北国のカナダで見つかった鎧竜の意を汲んで「北の盾」を意味する言葉です。
この化石標本は死亡直後、すぐに海底に沈んで泥砂の中に埋もれたことで無酸素状態に置かれ、微生物による分解が防がれて、生前の姿をほぼ完璧に留めることができました。
そして驚くべきは骨でできた装甲部分はもちろん、それを覆うケラチン層までちゃんと保存されていたことです。
そこでUCLAの古生物学者であるマイケル・ハビブ(Michael Habib)氏は改めて、B. マークミッチェリのケラチン層を調べることにしました。