車に高速でぶつかられても平気!
ハビブ氏がB. マークミッチェリの化石を調べた結果、骨の装甲を覆うケラチン層はこれまで予想されていたよりもはるかに分厚いことが明らかになりました。
それは数ミリ〜数センチという薄い層ではなく、場所によっては約16センチもの厚みがあったのです。
現代の牛の角を覆うケラチン層でも約1.5センチ程度ですから、これがどれだけ驚くべきことかがわかるでしょう。
ハビブ氏らはこのデータを元に、B. マークミッチェリの装甲がどれほどの衝撃に耐えられるかを試算してみました。
すると彼らの体は1平方メートルあたり12万5000ジュール以上のエネルギーに十分に耐えうることが示されたのです。
ハビブ氏いわく、これは「自動車に高速でぶつかられたときの衝撃に匹敵」し、B. マークミッチェリは「スピードを出しているF-150(フォード)に体当たりして撃破できる可能性がある」といいます。
またハビブ氏は、B. マークミッチェリだけでなく、他のほとんどのアンキロサウルス類の種も同様の分厚いケラチン層を持っていたのではないかと考えています。
この結果を受けてハビブ氏は「アンキロサウルスたちが生きていた時代の環境を考えると理にかなっている」と指摘しました。
B. マークミッチェリを含むアンキロサウルス類は、自分たちより体格のデカい肉食恐竜たちに常に脅かされており、またメスを巡ってのオス同士の争いも絶えず繰り返していたでしょう。
そうした過酷な環境下では、現代の車程度の大きさの物体に勢いよくぶつかられても負けない頑強さが必要だったと思われます。
恐竜たちは私たちが想像する以上に野蛮で荒々しい戦いを日夜繰り広げていたのかもしれませんね。