第3位:プラセボ手術にも本物の手術のように体を治癒させる効果がある
偽物の薬が本物の薬のように作用するプラセボ効果は、人体の不思議を代表する現象です。
プラセボ効果が影響を与える範囲は極めて広範に及んでおり、痛みやうつ症状の軽減だけでなく、パーキンソン病患者の運動機能の改善にも効果があることが知られています。
プラセボ効果の発生する仕組みについてはまだ解明されていない部分が多くありますが、一説には「患者が効果を信じることで体がその期待に反応し治癒効果に等しい反応が起こる」と考えられています。
そこで1990年代、ブルース・モーズリー氏は外科手術にも同じような効果が現れるかを確かめる試みが行われました。
調査に当たっては、酷い膝の痛みを訴える180人の患者を2つのグループに別け、一方のグループには本物の手術を行い、もう一方のグループにはプラセボ手術とも言われる偽の手術を行いました。
本物の膝の手術では、小さな金属の管を膝に挿入し、傷ついた軟骨を修復したり痛みの原因となる砕けた骨片の除去が行われます。
一方、プラセボ手術では膝を小さく切開するだけであり、器具を入れて軟骨を修復したり骨片を取り去ったりは行われません。
そのためプラセボ手術を受けた患者は、本物の手術を受けた患者と同じような傷跡が表面に残ることになります。
しかし研究により、手術をしたふりだけをする偽手術「プラセボ手術」にも、本物の手術に匹敵する効果が得られる場合がある、ことがわかってきました。