賢者タイムとは
性交や自慰行為の後、それまで高まっていた性欲が急激に減退し、冷静になる状態を、俗に「賢者タイム」と呼びます。
賢者タイムに突入した人は、直前の性欲に駆られていた自分の行動を顧みたり、人生の虚しさについて考えたりするため、そのような姿が達観・諦観した賢者のイメージと重なるのかもしれません。
もちろんこれは正式な言葉ではなく、インターネットのスラングです。
言いえて妙なこの表現は、性的な文脈以外でも使用されており、「何かを達成した後の冷静な状態」を指すこともあるようです。
では、この賢者タイムと呼ばれている状態は、医学的には、どのように表現できるのでしょうか。
候補としては2つ挙げられます。
1つは、射精後不応期または不応期(Refractory period)です。
これは主に男性の興奮状態が、射精により急激に鎮まる心理状態のことを指します。
この期間、人は性欲を完全に失い、冷静になり、虚無感に襲われることがあります。
またこの時はペニスが過敏になっており、更なる刺激を与えようとすると、痛みを感じることがあります。
例外はあるものの、女性は不応期を経験せず、オーガズムの直後に追加のオーガズムを経験できると言われています。
賢者タイムが当てはまるかもしれないもう1つの表現は、性交後憂鬱(post-coital tristesseまたはpost-coital dysphoria)です。
性交後憂鬱とは、性交や自慰行為の後に感じる深い憂鬱や悲しみ、不安のことです。
場合によっては、動揺したり攻撃的な感情になったりします。
男性だけでなく女性にも見られ、性交後5分から2時間続くことがあります。
こうしたことが生じるのは、欲求で隠されていたセックスや快楽に対する否定的な感情や考えが表に出るからだと考えられています。
この2つの言葉の意味を考慮すると、どちらも賢者タイムに当てはまる可能性はあるものの、射精後不応期の方がより適切だと言えるでしょう。
では、このような賢者タイムが生じるメカニズムはどのようなものなのでしょうか。