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キャベツ500円は「高い」のに、スタバの500円は「普通」【価値とは何か?】

2025.01.29 07:00:16 Wednesday

最近、日本でも物価高の影響が目立ちはじめています。

スーパーに立ち寄ったとき、いつもは200円前後で買えるキャベツが500円に値上がりしていて、「高すぎる!」と思わず声が出そうになった方もいるのではないでしょうか。

しかし、よく考えてみると、スターバックスでコーヒーを頼むときの500円にはあまり抵抗を感じず、むしろ当たり前に支払っているなんてことも。

同じ500円なのに、片方は「高い!」と驚き、もう片方は「まあ仕方ないか」と納得してしまうこの差はどこから生まれるのでしょうか。

価格をめぐる不思議な心理の仕組みを探ります。

ブランド・コミットメントに及ぼす消費価値の交互作用効果 https://www.jstage.jst.go.jp/article/marketing/41/1/41_2021.026/_pdf/-char/ja 消費者のブランド選択行動におけるロイヤルティとコミットメントの関係 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmd/12/1/12_1_1_1/_pdf/-char/ja

「感情」と「境界」が価格感覚を左右する

まず注目したいのが、「感情的価値」と「価格の境界線(内的参照価格)」という2つの要因です。

「感情的価値」とは、商品やサービスの利用によって得られる心理的メリットのこと。

たとえば、スターバックスのコーヒーを例に考えてみましょう。

スターバックスのコーヒーは、単にコーヒーの味という機能だけでなく、「洗練された空間」、「オシャレな雰囲気」など、心地よい感情を伴う要素が大きなポイントになっています。

そのため500円程度でも「そこまで高くない」と思いやすいわけです。

くつろぎの空間、持っているだけでステータスなど価値観は人それぞれ
くつろぎの空間、持っているだけでステータスなど価値観は人それぞれ / Credit:Canva

これに対し、キャベツはあくまでも食材としての実用性に重きをおきます。

普段から100~200円程度で買えるイメージがあるため、もし500円という価格を見かけると、「割高だ」と感じる人が多いでしょう。

つまり、キャベツのように、感情的価値が少ない場合、どうしても価格の高さが目につきやすくなるのです。

もう一つ重要なのは「価格の境界線(内的参照価格)」。

人には「この商品は大体いくらぐらい」といった相場観があり、それを越えた瞬間に高いと判断しやすくなるといわれています。

行動経済学では、こうした個人の目安を「内的参照価格」と呼びます。

キャベツなら100~200円と想定している人にとって、500円は大幅に上回る価格ですから、「高い!」と強く認識されるわけです。

一方、スターバックスのようなカフェで提供されるドリンクには、そもそも300~600円といった一定の価格帯を想定している人が多くいます。

さらに、この「境界線」は大きな金額帯でも同様に働きます。

たとえば、9800円の商品と1万円の商品を比較すると、前者が1万円の境界を割っているため、相対的に安く感じられやすいという指摘があります。

ところが、アップグレードする商品の価格を設定する場面では、この端数価格が逆に不利になる場合もあるようです。

「9800円から1万1800円にアップグレードする」となると、1万円を越える心理的ハードルを二重に意識してしまい、いっそう高いと感じやすくなるのです。

要するに、内的参照価格を超えるかどうかが価格認知に大きく作用し、「わずかな差額でも大きく感じてしまう」現象が起こるわけです。

このように、同じ金額であっても人によって「高い」、「高くない」の判断が真逆になる背景には、感情的価値と内的参照価格の相互作用があります。

スターバックスのように「特別感」を強く訴求している場合は同じ500円でも納得感が生まれやすく、日常的な食材のように大幅に相場を超えた価格になれば、同じ500円でも途端に「これは高い」と感じられてしまうのです。

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