偽ブラッド・ピットによる詐欺事件
事件は2023年2月、アンヌさんがインスタグラムをダウンロードしたことから始まりました。
すぐに「ブラッド・ピットの母親」を名乗る人物から連絡を受け、「(ピットさんが)あなたのような女性を必要としている」と言われたのです。
続けて、「ブラッド・ピット」を名乗る人物がコンタクトしてきました。
アンヌさんは警戒しましたが、SNSに慣れていなかったため、何が起きているのか正確に理解できませんでした。
当然ながら、このブラッド・ピッドを名乗る人物は詐欺師であり、画像生成AIを使って、自分をピット氏に見せかけていました。
JE VAIS CREVER https://t.co/dswEkQOl9N pic.twitter.com/dGp4hyA0Gi
— pichtinha 🇨🇻 (@Neness_G) January 12, 2025
そして何度もやり取りを続けるうちに、アンヌさんは相手を本物のブラッド・ピット氏だと信じるようになりました。
アンヌさんは「彼を疑うたびに、彼は私の疑念を払拭してくれた」と語っています。
詐欺師は、アンヌさんがが疑うと、2人が特別な関係にあることを報じる偽のニュース番組や、偽のAI動画を作成して、彼女を信じ込ませようとしてきたのです。
そして偽ピット氏はついに、腎臓がんの治療費が必要だと訴え、AIで生成した病院のベッドにいる自身の写真を何枚も送信しました。
アンヌさんはその写真をインターネットで検索しましたが、見つからなかったため、「私のためだけに撮影したもの」と信じ込んでしまいました。
その結果、アンヌさんは夫(裕福な起業家)との離婚などで得たお金をすべて詐欺師に送金してしまいました。
1年半の被害総額は、83万ユーロ(約1億3000万円)でした。
では、なぜこんな詐欺がまかり通ってしまうのでしょうか。