監視されると行動が変わる?ホーソン実験が示した驚きの事実

ホーソン効果の名前の由来は、1924年から1932年にかけてアメリカのウェスタン・エレクトリック社の工場(ホーソン工場)で行われた一連の研究からきています。
当初、この実験は「職場環境の変化が生産性にどのような影響を与えるか」を調べるために行われました。
例えば、工場の照明を明るさを変更したり、工場内の環境を変えることで作業効率にどんな影響が生じるか観察したのです。
ところが、意外なことに、照明を明るくしても暗くしても生産性は向上するという結果が得られました。

研究者たちはその原因を探るために、他の要素を調査しました。その結果、作業環境の物理的な環境変化よりも、「実験の対象にされているという意識」が作業員の生産性に影響しているとわかってきたのです。
作業員たちは、自分たちが研究の対象として注目されていると認識することで、普段以上に仕事に精を出すようになっていたのです。
このように、環境の変化よりも、「注目されている」という意識が生産性の変化を引き起こしたというのが、ホーソン効果の根本的なメカニズムです。
この発見をきっかけに、「人は誰かに見られていると認識すると、意識的または無意識的に良い方向に行動を変える」ことが心理学的な現象として認知されるようになりました。