日常生活にも影響?ホーソン効果の活用と落とし穴
このホーソン効果は、私たちの日常生活でも広く影響を与えています。
例えば、オフィスでは上司が近くにいると、普段よりも仕事に集中しやすくなることがあります。また、監視カメラや評価システムがある職場では、従業員の生産性が向上するケースも多く報告されています。
スポーツの場面でも、トレーナーや仲間が見ているとパフォーマンスが向上しやすい傾向があります。一人でトレーニングしているときよりも、誰かに見られていると自分を奮い立たせ、より良い成果を出そうとするのです。
練習よりも本番の方が高いパフォーマンスが出しやすいと感じる人は、スポーツや音楽、演劇の世界でも多いでしょう。
また、教育の現場でも同じようなことが起こります。授業参観があると生徒の集中力が高まり、より積極的に授業に参加するようになる場合があります。

このためテレワークの業務より、オフィスで仕事しているときの方が集中できると感じる人がいるのも、この効果が関係している可能性があります。
さらに、SNSの影響もホーソン効果と関連していると考えられます。
SNS上で「いいね」やコメントをもらうことで、行動を維持しやすくなるのはホーソン効果が関係しています。例えば、運動やダイエットを継続するために日々の成果を投稿し、それに対する反応を得ることでモチベーションを保つ人も少なくありません。
監視というと印象が悪いですが、自分が観察されているという事実は頑張りを見てもらっているとも言えます。そのため、本人が見られているということに対してどういう印象を持っているかも重要な要素になるでしょう。
そのためホーソン効果は、別に万能な効果というわけでもありません。
この効果は一時的なものである可能性が指摘されていて、最初のうちは監視されていることで成果が上がるものの、次第にその状況に慣れてしまうと、効果が薄れていくことがあるのです。
また、性格の影響も大きいと考えられています。監視されることがプレッシャーになり、逆にパフォーマンスを低下させてしまう人もいるでしょう。
実際、心理学の研究では、神経症傾向の高い人は監視されるとストレスを感じやすく、結果としてミスが増えたり、本来の実力を発揮できなくなることが示されています。一方で、外向的な性格の人は監視がむしろモチベーションとなり、より高いパフォーマンスを発揮しやすいとも言われています。
例えば、大勢の前でプレゼンを行う場面を想像してみてください。内向的な人は視線を意識しすぎて緊張し、言葉が詰まってしまうことがあります。しかし、外向的な人は観客の反応をエネルギーに変え、自信を持って話せることが多いのです。
このように、監視されることがプラスに働くかマイナスに働くかは、その人の性格特性によるところが大きいのです。

他にも研究の多くが、ホーソン効果とそれ以外の要因を完全に区別できていないという問題もあります。
例えば、最初のホーソン工場を見た場合、研究で監視されていることで、上司も頭ごなしに怒鳴ったりしづらくなり、労働者が働きやすくなったためモチベが上がったという可能性も考えることができます。
授業参観の場合も、保護者がいるために先生がいつもより優しいなどの要因の方が大きかったりするかもしれません。
こうした要因は完全に区別するのは難しいのです。
誰かに見られるだけで良い方向に変化する、私たちの行動
とはいえ、誰かに見られていると私たちの意識が普段と変わるというのは、実感として理解できる要因です。
ホーソン効果は、「人は見られていると感じると行動を変える」という心理現象を確かに示しています。仕事や学習、スポーツ、SNSなど、さまざまな場面でこの効果は影響を与えています。
ただし、この効果は永続的ではなく、プレッシャーが逆効果になることもあるため、職場などで活用しようとする場合には注意が必要です。
私たちがより良いパフォーマンスを発揮するためには、「適度な観察」と「内発的なモチベーションの向上」が鍵になるのかもしれません。
あなたは「誰かに見られている」と感じると、普段より頑張れるタイプですか? それともプレッシャーで逆に萎縮してしまうタイプでしょうか?
そんな自分の特性も考慮すると、自分にとって仕事しやすい環境を見つけられるかもしれません。
男子校と女子校の学生さんのガラの悪さの説明ですよね。