食べ物よりも「黄色」が好き?
私たち人間は、赤・青・緑の3色を基本にして、多くの色を識別できます。
しかし、犬の目には「錐体細胞(すいたいさいぼう)」という色を感じる細胞が2種類しかないため、人間とは異なる色の世界を見ています。
具体的には、犬は主に「青」と「黄色」の違いを識別できますが、赤や緑は黄色や灰色っぽく見えていると考えられています。
これまでの研究では、ペットの犬が色を識別できることは知られていましたが、自由に生活する野良犬を対象とした研究は少なく、色の嗜好についてもほとんど調べられていませんでした。
そこで研究者たちは今回、インドの路上で自由生活をする野良犬134匹を対象に、以下のような実験を行いました。
1:色の選択実験
犬の前に「黄色」「青」「灰色」のボウルを置き、どれを選ぶかを観察しました。
結果は、半数以上の犬が迷うことなく黄色のボウルを選び、青や灰色よりも明らかに好まれることが示されました。
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2:食べ物 vs. 色の選択実験
次に、犬の前に「食べ物の入った灰色のボウル」と「空の黄色のボウル」を置きました。
普通に考えると、空腹の犬なら食べ物の入ったボウルを選びそうですが、実際には52匹中41匹が空の黄色のボウルを選んだのです。
さらに、食べ物としてより魅力的な生のチキンを使っても、61匹中47匹が空の黄色のボウルを選びました。
これは犬が食べ物以上に黄色に強く惹かれている可能性を示唆しています。
では、犬たちはなぜ黄色が好きなのでしょうか?