NASAのデータは私たちがブラックホールの中に住んでいる可能性を示唆している
NASAのデータは私たちがブラックホールの中に住んでいる可能性を示唆している / Credit:Canva
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NASAのデータは私たちがブラックホールの中に住んでいる可能性を示唆している (2/3)

2025.03.21 17:00:30 Friday

前ページ意外と知らない“回転”の重要性

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奇妙な偏りは私たちがブラックホールの中に住んでいることを示す

NASAのデータは私たちがブラックホールの中に住んでいる可能性を示唆している
NASAのデータは私たちがブラックホールの中に住んでいる可能性を示唆している / FIG5は、JADES GOODS-Sフィールド内で、天の川銀河と同じ方向、つまり反時計回りに回転している銀河を示した図です。 この図では、各銀河がどの位置にあり、どの方向に回転しているかが一目で分かるようにマークされています。 見た目から、同じ方向に揃って回転する銀河がどのように配置されているかが直感的に理解でき、銀河の回転のパターンにおける一貫性が強調されています。 また、FIG5に記載された各銀河の座標情報は、統計解析やさらに詳細な調査のための基礎データとしても活用されます。 この図は、銀河の回転方向に見られる偏りが実際に存在する可能性を示唆し、宇宙全体の構造や回転パターンの理解に大きく寄与するものとなっています。/Credit:Lior Shamir . Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (2025)

調査に当たってはまず、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の大型観測「JADES」で撮影された深宇宙の銀河画像を、まるでコーヒーに浮かんだ渦を観察するように見比べて、銀河の回転方向を次々に調べるというものです。

まず、複数の波長で撮影された鮮明な写真を用意し、銀河中心から外側に向かう光の強さの変化をチェックすることで、腕の渦がどちら向きに巻いているかを自動で判定しました。

銀河の渦は「トレーリングアーム(後ろ向きの腕)」と呼ばれる構造を持っていることが多く、その形状を利用すると回転方向が高い確度でわかるのです。

加えて、元の画像を左右反転させたうえで同じ解析を行い、もし人間の目や機械が「同じ方向ばかり選んでしまう」癖を持っていないかも検証しています。

こうして最終的に約260ほどの銀河が解析対象となりましたが、そのうち「私たちの天の川銀河と同じ方向に回転しているもの」より、「逆方向に回転しているもの」の方が、なんと50%ほど多いという衝撃的な結果が得られました。

統計的にも偶然とは考えにくい約3.39σ(p値にして約0.0007)もの有意差が出ており、明らかな偏りといえます。

特に画期的だったのは、深宇宙の高い赤方偏移領域(=宇宙の初期にあたる時代)の銀河まで大規模に比較できた点です。

宇宙が本当に「どこから見ても同じ構造をしているのか?」という問いに対して、これほど高精度かつ大量のデータで踏み込む試みは前例が少なく、「ブラックホールの内部にいるのではないか」という壮大な仮説も、実際の観測データをもとに検証し始めることが可能になったからです。

次ページ宇宙像を塗り替える新仮説

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