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psychology

「被害者叩き」はなぜ起きる?人の中では因果応報の原理が歪んでいると判明!

2025.05.10 17:00:55 Saturday

道徳は、社会共有れる規範ルールこと指します。

けれど現代ネット社会では、それと別に、個人持つ“なんとなくさ”が、しばしば道徳よう他人責める場面立ちます。

この問題は「被害者叩き」で特に顕著に現れています。

子どもが事故にあった親に対して「目を離したのが悪い」という意見が出たり、ネットで炎上被害にあった人に「自業自得」という意見が出たり、土砂災害にあった人に「そんな場所に住むのが悪い」という意見が出たり。

確かに問題に対する因果関係はあったにせよ、それで被害者が叩かれたり責められるというのはおかしな感じがします。

カナダヨーク大学(York University)中心する国際研究チームは、そんな因果応報の正義感ともいえるカルマ思考」が個人の中でどう働いているのという問題を調査しました。

するとそこには非常に偏った人間の倫理観が見えてきたのです。

この研究アメリカ心理学会学術誌『Psychology of Religion and Spirituality』20255掲載ています。

Most people believe they deserve good karma more than others https://www.earth.com/news/most-people-believe-they-deserve-good-karma-more-than-others/
Karma Rewards Me and Punishes You: Self–Other Divergences in Karma Beliefs Click to access rel-rel0000565.pdf https://www.apa.org/pubs/journals/releases/rel-rel0000565.pdf

自分には良い行動の報いを、他人には悪い行動の報いを求めている

カルマは、サンスクリットで「行い」や「行動」意味する言葉で、一般は「善い行い善い結果を、悪い行い悪い結果引き起こす」という考え方を表しています

これいわゆる「自業自得」や「因果応報」といった考え方の根底にあるものです

誰か手助けしたとき、「いつか自分良いことある」考えたり、「悪いこといつか当たる」というこの考え方は、多かなか存在いるしょう。

Credit:canva

今回の研究チームはこの「行動て、それに見合結果ってくる」というカルマの非常単純明快な概念が、人の道徳観を理解するのために利用できると考え調査を行いました。

実験では、アメリカ、インド、シンガポール住む十代後半から中高年までおよそ1,200対象に、「カルマ関係いる思う出来事」1自由思い出いました。

研究チームはこの参加者が書いた出来事を自分きた他人きたか〉、そして〈良いこと悪いことか〉分類して分析しました。すると、ここにはっきりした偏り上がってきたのです

参加自分のカルマが関連した体験としてげた内容は、その7割が昇進恋人出会いなどポジティブした。

多くそれらを「自分日頃善い行いわれた」結びつけ説明ていした。

一方で、他人に起きたカルマに関連する出来事としてものの8は、失職病気といったネガティブした。

これらの多くは、「その人の日頃の行いが悪いから起きたという文脈でていです。

また、自分に関する悪い出来事を「過去悪行報い」認める記述ごくわずかで、ほとんど話題にはりませんでした。

この結果は、たちが「自分報酬としてカルマを、他人としてカルマ当てはめる」傾向が強いこと示しています。

これはつまり多くの人が、他人の不幸を目にしたとき、「その原因はその人の日頃の行いにある」と考えやすいことを示しています。

次ページ「被害者叩き」が起こる原因

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