実はゲームは脳にいい?
「ゲームが病気の治療に役立つ」と聞くと、多くの人は意外に感じるのではないでしょうか。
たいていゲームは健康や発育にとって目の敵にされやすく、皆さんも幼少期に「ゲームばかりするとバカになるよ!」と母親に叱られた記憶があるかと思います。
ところが近年の研究では、ゲームをプレイすることで健常者の認知機能や脳の構造を改善できることが示されつつあるのです。
こうした効果はゲームに特有の目標志向から生じると指摘されています。
例えば、マリオならピーチ姫を救い出すとか、ポケモンならチャンピオンになるとか、ゲームの大半はプレイヤーに「何らかのステージやミッションをクリアする」という目標を与えるものです。
専門家らは、このように目標を追うことがプレイヤーの脳の報酬系を活性化させて、神経可塑性を高めるのだと説明します。
神経可塑性が高まるとは、脳の神経細胞のネットワーク間に新たな接続を作り出すことで、脳の構造が再配線され、認知機能が改善されることを意味します。
これを踏まえて研究チームは今回、ゲームをすることが「統合失調症」の改善に役立つのではないかと予想しました。
というのも統合失調症では、脳の神経可塑性が低下することで、認知機能やメンタルヘルスが悪化することが知られているからです。