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Credit: canva
psychology

不安体質は「生まれる前」に原因があった、新研究が報告

2025.09.29 07:00:03 Monday

あなたは普段から「なんとなく不安を感じやすい」と感じたことはありませんか?

実はそうした不安体質は、生まれた後の経験や性格の影響だけでなく、「お母さんのお腹の中にいた時期」に原因があるかもしれません。

米ワイル・コーネル医科大学(WCMC)の研究チームによると、妊娠中の母親が感染や強いストレスを受けた場合、子どもは大人になってから“不安体質”になる可能性が高いことが、マウスを使った実験から明らかになりました。

この発見は、不安やストレスに悩む多くの人に「自分ではどうしようもない根本的な原因」があることを示唆しています。

研究の詳細は2025年9月23日付で科学雑誌『Cell Reports』に掲載されました。

Inflammation During Pregnancy May Prime Offspring for Anxiety https://news.weill.cornell.edu/news/2025/09/inflammation-during-pregnancy-may-prime-offspring-for-anxiety Roots of Your Anxiety May Trace Back to a Time Before You Were Born https://www.sciencealert.com/roots-of-your-anxiety-may-trace-back-to-a-time-before-you-were-born
Adverse gestational environment configures a subpopulation of ventral dentate granule cells for recruitment to drive innate anxiety https://doi.org/10.1016/j.celrep.2025.116219

不安体質は「生まれる前」に脳の中で芽生えていた

今回の研究で使われたのは、妊娠中に「炎症」や「ストレス」を受けた母マウスと、その子どもたちです。

研究チームはまず、妊娠した母マウスに“感染やストレスに似た状態”を人工的に作り出しました。

すると、生まれてきた子マウスは成長後に「不安を感じやすい」傾向が明確に現れました

たとえば、「安全な場所」から「少し危険な場所」へ移動することを強く避けるなど、人間でいう「緊張しやすい」「心配性」な性質が顕著に見られたのです。

さらに調査を進めると、子マウスの脳――特に「腹側歯状回(vDG)」という脳領域――に注目すべき変化が起きていることがわかりました。

この部分は「周囲の環境にどれくらい脅威があるか」を判断する役割をもつ重要な場所です。

チームが脳細胞を詳しく調べた結果、胎児期にストレス刺激を経験した子マウスの脳細胞は、ごく一部が「危険」を感じやすく、過剰に反応するようになっていたことが明らかになりました。

つまり「生まれる前」に受けた母体の影響が、子どもの脳に“見えない印”として刻まれていたのです。

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