薄毛に効く「ミノキシジル」をナノ化

ミノキシジルは、市販の育毛剤にも使われている有効成分で、もともとは血管を拡張して血流を促進する作用を持つ薬剤として開発されました。
毛包(毛を産生する器官。毛根を包む組織)への血流を増加させることで、毛髪を作り出す毛乳頭細胞を活性化し、髪の成長を促進するとされています。
特に男性型脱毛症(AGA)に対しては、高い治療効果を持つことが広く知られています。
しかし、通常のミノキシジル製剤では粒子のサイズが比較的大きいため、薬剤が毛包の深部まで十分に届きにくいという課題がありました。
この課題を解決するために考えられたのが「ナノ化」です。
ナノ化とは、薬剤の粒子サイズをナノメートル単位にまで小さくする技術であり、これによって、粒子が皮膚や毛包の深層部へ効率よく浸透できるようになります。

これまで研究チームは、ミノキシジルを約110ナノメートルという極めて小さい粒子に加工することに成功しています。
さらに新たな工夫として「アラビアガム」という天然由来の物質を加えた製剤を開発しました。
アラビアガムは樹木から採取できる多糖類の一種で、食品や医薬品添加物にも使われる乳化作用のある成分です。
これを配合することで、ナノ粒子の安定性を高め、製剤の粘性を約30分の1まで低下させることに成功。外用剤としての使用感を改良できる可能性を見出しました。
では、この新しいナノ化ミノキシジルは、どのような効果を発揮したのでしょうか。