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クジラ肉の成分がパーキンソン病に効く可能性 / Credit:Canva
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「クジラ肉」が脳の細胞を守る可能性

2026.04.29 11:30:20 Wednesday

クジラ肉が、脳の細胞を守る

そんな一見突飛な話が、科学的に裏付けられつつあります。

岩手大学の研究チームは、日本鯨類研究所との共同研究により、ヒゲクジラに豊富に含まれる成分「バレニン」が、パーキンソン病モデルマウスの神経細胞の変性を抑え、病気の進行を軽減する可能性を明らかにしました。

研究成果は2026年4月24日付で『Biochimica et Biophysica Acta – General Subjects』に掲載されました。

クジラ肉の成分「バレニン」が神経変性を抑制 ―パーキンソン病の新たな予防戦略の可能性― https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2026/04/007852.html
Balenine alleviates neurodegeneration and inflammation in a mouse model of Parkinson’s disease https://doi.org/10.1016/j.bbagen.2026.130953

クジラ肉の成分がパーキンソン病に効く可能性

バレニンは、イミダゾールジペプチドと呼ばれる成分の一種です。

これは肉に含まれる機能性成分で、疲労感の軽減などに関わる成分としても知られています。

似た仲間にはカルノシンやアンセリンがありますが、バレニンは体内で分解されにくく、比較的安定して働きやすいと考えられています。

そこで研究チームは、バレニンが加齢に伴う神経の病気にも役立つのではないかと考えました。

注目したのが、パーキンソン病です。

パーキンソン病では、の中でドパミンを作る神経細胞が減少します。

ドパミンは、体をスムーズに動かすための信号を伝える物質です。

これが不足すると、脳から体への指令がうまく届かなくなり、動きにくさや震えなどが現れます。

そしてもう一つ重要なのが、バレニンをどうやって脳に届けるかです。

脳には、血液中の物質を簡単に通さない仕組みがあります。

そのため、体に入った成分がそのまま脳に十分届くとは限りません。

そこで今回の研究では、バレニンを鼻から投与する方法が使われました。

鼻の奥を通じて脳へ届けることを狙った方法で、血液中で分解される前に脳へ作用させやすくする工夫です。

実験では、MPTPという物質を使って、パーキンソン病に似た状態のマウスを作りました。

そのうえで、バレニンを1日1回、鼻から投与し、行動の変化や脳の状態を調べました。

結果として、バレニンを与えたマウスでは、病気モデルで見られる行動の乱れが一部抑えられ、物の位置を覚えるテストでも改善が見られました。

さらに脳を調べると、ドパミン神経の目印となる成分の低下が一部抑えられており、バレニンが神経細胞を守った可能性が示されました。

より詳細な結果と、その背景にある仕組みを次項で見ていきましょう。

次ページバレニンはなぜ神経細胞を守ったのか?

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