絵文字で心を語る時代

スマートフォンやパソコンでのやりとりにおいて、絵文字は今や欠かせない存在です。
文章だけでは伝わりにくいニュアンスも、笑顔や涙の絵文字一つ添えるだけでガラリと変わることがあります。
まるでデジタル時代の「表情」や「身振り」のように、絵文字はテキストコミュニケーションに温度感や感情を加えてくれる「感情の句読点」とも言えるでしょう。
実際、日常的に多くの人がチャットやSNS投稿で絵文字を活用しています。
では、その絵文字の使い方には人それぞれ“クセ”があるものですが、そこに性格の違いは表れるのでしょうか?
心理学の分野では、文章表現や言葉の選び方にその人の性格が反映されることが以前から知られています。
たとえばSNS投稿で使われる語彙を分析すると、投稿者の外向性や内向性などパーソナリティの傾向をある程度予測できるという研究もあります。
ところが、絵文字の使用傾向と性格特性との関係については、まだ十分に調べられていませんでした。
絵文字は文字情報ではありませんが、コミュニケーション手段の一部です。
そこで米国の研究チームは、「私たちがコミュニケーション中に絵文字をどう使うかは、その人自身の性格的な特徴と関係しているかもしれない」と考えました。
つまり、絵文字の使い方の違いから投稿者のパーソナリティを読み取れるのではないかという着想です。
この仮説を検証するため、研究者たちはSNS上での絵文字使用頻度と性格5因子(いわゆるビッグファイブ:外向性、協調性、誠実性、開放性、神経症傾向)との関連を詳しく調べることにしました。